忘却の彼方〜五十路カウントダウン

 私の大好きな映画「ガープの世界ガープの世界 [DVD]の中で、主人公の母親、グレン・クローズ演じる“ゴッドマザー”ジェーンが孫に向かって語る、このセリフが大好きなの。
「お前もいつか年寄りになるのよ。年を取るのってすてきなことよ。虫歯を心配せず、ケーキを食べられるわ。学校にも行かず、運が良ければ・・・いい友達に囲まれ、昔の思い出にひたれる。。。いいでしょ?」
 うん、いい! そう、なりたい。。
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 先日、パン屋さんを継いで頑張っている20年来の古い友達(ノンケ男、独身、現在40代前半)と久しぶりに会って色々と思い出話をしたのね。そうしたら、話しているうちに段々ぎこちなくなってしまって。
 なぜかというと、彼が「あのとき一緒にいたあの人、○○さんが可笑しかったよね」とか「あのときhiroc-fontanaさんから「××だ!」って言われちゃって、俺凹んだよ」とか、想い出のディテールに入れば入るほど、ワタシときたら「へ〜、そうだったっけ。」「え〜!覚えてないよ。」とか、そんな反応しか出来なくなってしまったから。。。
 しまいには、その友達からこんなことを言われてしまって。
やっぱりhiroc-fontanaさんとは情報量が違うから、細かいことは忘れちゃうんだね。僕はあまり外に出られなかったからさぁ。。。」なんて。
 ああ、悪いことしちゃったな〜、もっと上手く話を合わせても良かったのだよな〜、なんて酷く反省して。もちろん、パン屋の友達とは年齢差もあるし、同じ時代を生きたとしてもそれぞれ感性が違っていただろうことも確かにある。でも、それにしても、50才に手が届くのにまだ、こんなにも鈍感で不器用な自分がまた嫌いになったりして。
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 そして、ハッと気付いたの。
 思い出に浸る人生なんて、私にとっては夢また夢じゃないのか、ってね。
 何かを残したいと、もがけばもがくほど、ワタシの人生の思い出は消えていってしまうのではないか。物心ついてからこのかた、毎日を一生懸命生きている振りをして、結局は「やり過ごしてきただけ」なのではないか、と。だから、楽しい思い出と呼べるようなものは本当に微かにぼんやりとしか覚えていなくて、いざ思い出そうとすると、無理したり迷ってばかりいた、嫌な思い出ばかりがとめどなく溢れてきてしまいそうだから、思い出さないようにどこかでフタをしているような気さえしてきて。
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 私、もうすぐ49才になります。50才へのカウントダウン。冒頭に紹介したセリフが言えるようになるには、あと100年はかかりそうな気がします。。。

 さてお口直しに(笑)この曲。「思い出にだかれて」。ルミ子たんの名曲です。