SEIKOの夏、日本の夏〜SEIKO MATSUDA Concert Tour 2018〜


 hiroc-fontanaにとって、正直、2018年の夏は、太田裕美さんの東西・2WEEK・ソロコンサートですべてが終わっていたと思っていたのよね。
 内輪ネタを含めて「自分の言葉」で楽しいトークを挟みながら全曲をナマ歌・原曲キイで聴かせてくれる太田さんのコンサートを2週にわたって堪能したワタシにとっては、この夏の最後にセイコたんのコンサートが控えていることはわかりつつも、近年あまりにパッケージ化が進んでしまったセイコのコンサートに行くことは、どこかノルマ的な感覚のものになりつつあったのかも知れない。
 夏だから!みたいな。
 
 会場に到着。武道館の西側、2階席。ほぼ最上段に近い場所で、ステージを真横から見下ろすような感じの席につくと、会場全体が見渡せる感じ。太田さんの時も感じたのだけれど、会場を埋め尽くすファンの年齢層を見て、改めて自分という人間がどんな位置づけにあるのかが、わかる。
 ヘッドフォンで太田さんやセイコさんを聴いているとき、ワタシは10代だったり20代だったり、タイムマシーンで年齢を飛び越える存在になっている。そして裕美さんや聖子さんの歌声はたぶん、ずっと、20代の頃のまま。Merry-go-round(初回限定盤A)(DVD付)
 でもね、いざこうして夢のステージを前に、観客席という「現実側」に身を置くワタシは、50代半ばのリッパなハゲのオッサンで、回りのファンを見れば、Tシャツに短パンで若ぶっていてもやっぱり冴えない白髪頭のオジさんや、一生懸命オシャレしているけれどアゴのあたりに生活の疲れが隠せないオバさまが大多数で。。。
 そう、聖子たんももはや、「ナツメロ」なのよ。結局は。
 こんな現実をヒシヒシと感じながら、果たしていつもの“お伽の国のセイコたん”のステージを本当に楽しめるのだろうか・・・。ワタシはそんなことを考えていたのだ。きっと、疲れていたのだと思う。
 Seiko Matsuda Concert Tour 2017「Daisy」(初回限定盤)[DVD]そんな中、会場が暗くなり、恒例のセイコ・コール。ステージが始まり、聖子さんが舞台セットの2階中央に登場し、ゴンドラで1階に降りて、といういつものパターン。1stステージはニュー・アルバムからの曲を続けてパフィーマンス。今回はダンスがとてもキレがあって(口パクだけど)、セイコさんもとてもお元気そう。よかったわ。
 そして、2ndステージも恒例、アコースティック・コーナー。ナマ歌とナマ演奏で頑張るコーナーね。いつもはここでレア曲の演奏があるのでちょっぴり期待もあったのだけど、セイコたんの声があまり調子が良くなかったように感じたうえ、
「この曲、キイを下げ過ぎじゃね?まるで、別な曲になっとるわ!」
「ちょっとさ〜、歌の途中で客にマイクを向け過ぎじゃね?アタシは客の合唱を聴きに来たんじゃねーわ!セイコたんの歌を聴きに来たんじゃ!」
などど、心の中でなぜかセイコたんへの罵声が止まらずで(苦笑)、どうも、楽しめなかったのよね。。。ワタシ、疲れていたのです、本当に。
 でも。それが、途中から変わったのだ。コロッとね(笑)。
 なんと、この日のセイコたん、恒例のアコースティック・コーナーのアンコールに応えて、4曲も多く歌ってくれたのだ。「みんな〜、もう、いい加減にしてよ〜。」なんて言いながら、少し、嬉しそうに。そんなやりとりを見ながらワタシ、あ〜、だから聖子たん!好きなんだよ〜!と、思わず叫んだのだ。(もちろん心の中でね。)Seiko Matsuda Concert Tour 2017「Daisy」(通常盤)[DVD]
 そして、ダンサー紹介を挟んで3rdステージは(その間にそそくさとトイレに立つ妙齢の男女が多数。さすがだわ・・・)、お待ちかねヒットメドレー。会場も待ってましたとばかり、当然のごとくみんなでスタンドアップ。当然、私も。
 それでも最初は、アコースティックコーナーがあまりにセイコたんの声が冴えなかったゆえ、ヒットメドレーで一転、張りのある声で舞台を動き回るセイコたんに「きっと口パクよ!」とバカにしていたワタシ、途中で気づいたのだ。あ、観客にマイクを向けると、ちゃんとそのタイミングでセイコたんの声が聴こえなくなってるじゃん!って。そう、彼女、今回はヒットメドレーでもちゃんと歌ってくれていたのです(・・・ほとんどの曲を)。
 そんなこともあって、いつの間にワタシ、会場と一体になって、ひらひらと“夏の扉を開けて”、トゥエニース・パーリー!手を高く左右に振って、最後はセイコたんありがとう!これからも頑張って!と、手がちぎれんばかりの拍手を送っていたのでした。
 そう、結局はこうして年一回、“同世代の”セイコたんからファンは元気をいっぱいもらって、たのしかったわ〜、また来年の夏も会いたいわ〜と、それぞれの現実の戻っていく。そういうシンプルなハナシで。そうして世の中は成り立っているのだし、それこそが、大切なのかもしれないよね(ありがと、セイコたん!)なんて考えながら、ニヤニヤして家路につく中年ゲイがここにまた一人・・・。
(↓これ、秋に向かってまた楽しみがひとつ。。。)

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