太田裕美コンサート2019~コア層向けの45周年~

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 令和元年5月12日(日)、太田さんのホームグラウンドとも言える渋谷、さくらホールで開催された「太田裕美コンサート2019」に、ラッキーにも参戦することができました。

 年々“プラチナ化”しているソロコンのチケットですが、それでも今回も700席規模の会場(京都は1000人規模ですが)でのコンサートに頑ななまでにこだわっている(?)太田さん、「ステキのキセキ」の歌詞にある「しあわせ未満、足るを知る」ということなのも知れませんけどね・・・。太田さんらしいと言えば「らしい」感じ。

 「11月に東京フォーラムで45周年記念コンサート開催!」というビッグニュース発表があったわけですが、そのときも、「体力が持つかしら・・・」とちょっと不安を漏らされてましたっけ。

 そう、裕美さんはいままでずっと、最大の武器であり、同時に弱点でもあるご自分の「ノド」をいかに上手に手なずけて付き合うか、闘ってきたのだと思う。だから、近年では声が絶好調とも思われる今だからこそ、この好調を少しでもキープしながら長く歌い続けていきたい・・・。会場選びにもそんな太田さんの思いもヒシヒシと伝わってきて、だから毎回、こんなにも客席と一体となった感動的なステージになるのだと、今回のコンサートを観て聴いて、改めて思ったのです。そして、そんなコンサートを体験できることは、ファンとして本当にシアワセであると。

 

 さて今回のレポは、1か月少しあとに京都公演も控えておりますので、セットリストは非公表とさせて頂くことといたしまして、“雰囲気レポ”と言う難しい手法(苦笑)に挑戦でございます。

 冒頭、スタンドマイクで登場した太田さんは、淡くブラウンに染めたショートヘア、ピンク基調の春めいたブラウスとスカートという出で立ち。バックは昨年から加わった楠均さんのドラムスに、EG&B&Perの岩井眞一さん、AGの西海孝さんという気ごころの知れたメンバーで、リズム取りの難しいオープニング曲(hiroc-fontana、大好きなレア曲でした!)から息の合った演奏で固めて、冒頭から「キタ~!」という感じでした。

 しかし客席の方はいつもながらお行儀良く「歌に集中する」姿勢のファンが多くて、前半は、ノリがもうひとつ。途中、太田さんが「(久しぶりに演奏した)この曲なら、絶対、手拍子が来ると思ったのに・・・。」と呟く場面があって、それは私も少し残念でした。ジョイントコンサートではおそらく気軽に手拍子するオバちゃんたちで一杯なのに、ソロコンでのコアなファンの「反応の薄さ」に少し残念な思いもあったようで、もちろんその後は客席も奮起して俄然、ステージと客席の一体感は高まったような気がするのですが、どちらかと言えば「手拍子したい派」のhiroc-fontana、次回からは最初から一生懸命、客席から太田さんを応援したい、と思った次第・・・。

 さて、太田さんはTwitterでも今回のコンサートは「コアな内容になる!」と宣言されていたそうですが、夏発売のアルバム曲を中心に披露された20曲弱の演奏曲の中で、シングル系の作品は7曲のみ(もちろんそこには5月発売の新曲2曲も含まれているわけですが)というコアぶり(?笑)で、まあ、ソロコンはいつもそんな感じとは言え、毎回「どんな曲をやってくれるのか?」と、こんなにもワクワクさせてくれるのは、自らの作品を愛して大事に歌ってくれる太田さんが、決して我々の期待を裏切らない選曲をしてくれるからなのでしょうね。そしてそれがファンにとっては決して「楽しませてあげる」というような押しつけがましいものではなく、太田さんご自身が楽しんで選曲していることがわかるからなのでしょう。「本当はこの曲は嫌いだけど、受けがイイから仕方なく歌うわ・・」なんていうのは、太田裕美さんには絶対に無い。ステージで楽しそうに歌い演奏する太田さんから、それを確信できるのです。

 今回も、全曲原曲キイのまま素晴らしい声を会場に響かせていた太田さん、トークでは銀色夏生(山本みき子)さんと久しぶりに連絡を取ったこと、下田逸郎さんと再会して「変わらなさ(ブレなさ)」に敬服した話、桑田くん(太田さんは佳祐さんをそう呼びます)と歌番組で共演したときにあの隠れた名曲を褒められた一部では有名な逸話など、色々なハナシが飛び出して、これもやはり太田さんのソロコンならではの楽しみであることを改めて実感。メンバー紹介ではドラムスの楠さんの下の名前をド忘れして、「クスノキクスオでいいわよね?」と笑わせてくれたり。安室ちゃんをはじめ、曲間ではほとんど喋らないアーティストも少なくない中、ごく自然なトークでありながら、曲間でも毎回楽しませてくれる太田裕美という人は、つくづくスゴイ人ですわ。。。(さださんと双璧?苦笑)

 新曲はもちろん歌ってくれて、「45周年なので45回転のアナログシングル・・・」という話が出て私も思わず「そうだったのか!」と膝を叩いたのですが、「でもレコード会社に聞いたらあっさり否定された」と(笑)。そしてその新曲紹介では、「ステキのキセキ」は太田さん自身が元気になれる曲、「桜月夜」はマジメに頑張って来た皆さんに元気を贈る曲です、というコメントがあって、ワタシはその言葉を聞いてしまったせいか、その歌声を聴きながら、込み上げてくるものを抑えるのに必死でした。

 それからもうひとつ、新曲紹介のときに太田さん「45周年企画の“第一弾”です」という発言をたしかにしておられて、フォーラムで45の周年コンサートの前に、何かまたリリースされるのかも、という仄かな期待も・・・。

 そんなわけで、今回も神々しいまでに輝くお姿に絶好調な歌声、そしてレア曲満載で楽しませてくれたソロコンサート、11月の久々に大きなステージでのコンサートも楽しみではありますが、負荷の少ない範囲で、変わらぬ部分と挑戦する部分をこれからも絶妙な采配でブレンドしながら、歌い続けていって頂きたい。それが、45年のファンのひとりとしての願いであります。