踏切事故に思う

 足立区竹ノ塚の踏切事故について。とてもやるせない気持ちにさせられるニュースだ。不幸にも事故に遭われた二人の女性とその家族は勿論だが、俺は、加害者となった東武鉄道職員の立場を考えると、やるせないのだ。
 会社等の新人教育で、注意すべきこと(しかし避け難いこと)とされる「ヒューマンエラー」。ついうっかり、というやつだ。ついうっかり、で人の命を奪ってしまう。それはあってはならないことだ。だからこそ、それが起こらないよう、二重三重の安全確保を図ることが鉄則だ。
 しかし、しかしである。もし自分が、加害者の彼と同じ立場であったらどうだろう。三交代制で、来る日も来る日も遮断機の開け閉めを行う仕事。ラッシュの時間帯は、遮断機が開くのを今か今かと待つ人々がごった返す「開かずの踏切」になる。踏切わきにある詰所は、嫌でもそれら人々の姿が目に入ってくる。
 「待っている人を少しでも早く渡らせたかった。」
加害者の発言である。流れ作業のように続く日々のなかで、なかば機械的に動く身体と裏腹に、一瞬白昼夢のように想いが身体を飛び立つ時がある。そんな時、待っている大勢の人たちが目に入り、反射的に遮断機を上げてしまう・・・。そこにヒューマンエラーの怖さがある。絶対してはいけないことについては無意識に防御が働く、本来はそれがプロなんだろうけど、プロもやはり人間である・・。自分に置き換えると「いかにもやってしまいそうな話」でやるせないのだ。
(追記!) この日記を書いているうち、新しい情報が飛び込んできた。何と今回加害者となった彼は、1年前にも遮断機を下ろし忘れる!というミスを起こしていたというではないか!さすがにこれには同情の余地が無い。資質の問題であるし、本人は謹んで処罰を受けねばなるまい。同時に、これを放置していた会社側の責任は重大である。