ドラマ『すいか』DVD

すいか DVD-BOX (4枚組)

すいか DVD-BOX (4枚組)

 「自分の人生って、一体なんなのだろう・・・」
 ゲイってのは、基本的に孤独になる宿命があるので、どうしてもそんな方向に関心が向いちゃうのね。多分に自意識過剰なところもあるのかな。ついでに、いつまでも独身なので同年代の男と比べたら自ずと「可処分所得」と「自由時間」が多い場合が多いので、結果として「自分さがし」をいろいろ試みてしまうわけ。
 俺の友達でも、いきなりピアノを習いはじめちゃったり(30代後半・カレシなし)、市民オペラにハマって見事に主役を射止めちゃったり(40代後半・カレシあり)、会社を辞めてヒーリングマッサージの店を始めちゃった(50代前半、カレシ不明)りと、なかなかアグレッシブに人生に立ち向かっているヒトが多い気がする。
 それは結局、結婚して子孫を残すという、人間として基本的な役割を果たせないことからくる一種の焦りなのかもしれない。言い換えれば、子孫ではない別な形でなんとか自分が生きた痕跡のようなものを残せないものかという、焦り・アガキみたいなもんね。
 前置きが長くなりました。2003年の夏に放送されたこのドラマで小林聡美演じる主人公も(ゲイじゃないけど)ちょうどそんな感じで人生を見つめる時期を迎えた34歳、独身女なのである。俺、借りてきたDVD4本を一挙に見てすぐさま大好きになってしまった、このドラマ。1話1話を、本当に慈しむように見ることができた。こんなの、久しぶり。
 三軒茶屋の下宿屋を舞台に、小林を含む3人の下宿人と大家、計4人の女性を中心に繰り広げられるお話は、コメディータッチで時に荒唐無稽、しかし1話ごとにしっかりとテーマがあってキメのセリフでホロッとさせてくれる。「やっぱり猫が好き」の木皿泉による脚本は、向田邦子賞を受賞しただけあって、かつての向田ドラマのような深みのあるセリフの連続。教授役の浅丘ルリ子はとても人間味があって魅力的だし、ナイーブな漫画家役のともさかりえと若い大家役の市川実日子はオシャレな少女マンガから出てきたみたいにキュートで活き活きしてるし、その他魅力的なキャストを含めてこのドラマが持つ雰囲気そのものが、とても「愛すべきもの」に仕上がっているのがいいのね。登場人物がイイ人ばかりなのもいいし、レトロな下宿屋のセットや小道具、古着中心の衣装もGOOD。終始セピア調の画面もドラマに温かみを加えていて良い雰囲気だし。
 冒頭の話に戻るが、俺の場合、人生はどちらかというと毎日の繰り返しの中にこそ光るものが見つかるんじゃないかと思っている「横着者」なのだ。で、『すいか』でいうと、小林演じる主人公も最後に結局、そんな人生を自ら選択する。そして「今日もまた、同じようで違う、新しい一日が始まるのさ」と自分に言い聞かせて家を出るのだ。なんか、いいよね。
 そう、このドラマ、キョンキョンも友情出演。相変わらずシブく仕事選んでます。
 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%99%E3%81%84%E3%81%8B_%28%E3%83%89%E3%83%A9%E3%83%9E%29