不愉快な政治

 言いたい放題して辞めた、中山元国交大臣の辞任会見。そして9月29日のアソー総理大臣の所信表明演説。お二人の発言の数々に、なんだかとても違和感を抱いた私です。
 中山氏の発言は、おそらくバリバリの保守層にとっては「わが意を得たり!」という感じなのでしょうね。ネットでもたくさんの援護射撃があるようです。日教組批判は、日本の教育に危機感を感じていることの裏返しでもありますし、人それぞれ色々な考え方がありますから、それはそれで良いのでしょうし、私はそれについてとやかく言う気はありません。
 ただ、この違和感はいったい何なのでしょう。。。主義主張の違いだけではない、このしっくりこない感じは。何だかとても、イヤな感じが残ったのです。
 ---- そして、たぶんこれが原因に違いない、と思い至りました。
 私は、相手(というか私にとっては第三者ですが)を「誹謗中傷する」(つまり悪口を言う)という彼らのやり方に、おそらく違和感を抱いたのです。
 中山氏は、日教組を「癌だ」といい、「ぶっつぶす」とまで言い切りました。
 アソー首相は、質問の形を借りて「ねじれ国会を空転させた元凶」として民主党をこき下ろしました。
 思えば我々国民は、大臣はおろか首相までもが、臆面も無く他者を誹謗中傷する姿を立て続けに見せつけられたのですよね。
 本来であれば、たとえ彼らがそのような不満を心の内に感じていたとしても、それをそのまま公の場で口に出してぶつけるのではなく、解決策を携えて直接に当事者に対話をもちかけること、そして穏便に解決を導いていくことこそ、彼ら為政者のなすべきことであるとは思いませんか。私は彼らにそんな姿こそ見せてほしかったのです。
 しかし彼らは、心に抱える不満をただ国民の前に吐き出す、それだけでした。それは、自分が抱える不満を解消するために、友人に愚痴をこぼすのと何ら変わらない、低次元の行為であると私は思うのです。それどころか関係者(ここでは国民も含みます)に対して、不要な対立感情を煽ることにもなりかねません。
そこに私は大きな違和感を抱いたのです。
 辞任会見で鋭い質問を投げかけた記者に「あなたとは違うんです!」と捨てゼリフを残して去った、フクダ前総理も。
 民主党のオザワ党首に会談を断られたから、と言って辞めたアベ元総理も。
 ここ最近の日本の政界は、自分の無責任さは棚に上げて他者への言葉責めや責任転嫁によって自己を正当化するような輩ばかりが目に付くような気がします。とても見苦しいのです。
 私はもっと他者に思いやりのある政治を期待したいのです。喧々諤々議論するのは結構なのですが、そこにはしっかりとした「落としどころ」を用意しておいてほしい。つまりはお互いの意見を尊重して議論するということです。ただただ誹謗中傷しあったり、あるいは奇策を弄して相手を窮地に陥れることばかりが目立つ最近の政治は、見ていて不愉快だし、それこそ日本の政治の劣化そのもののように感じるのです。