「やりきれない映画」のラストを見ることになるのか。〜オザワ問題〜

 1989年に公開された「ミュージック・ボックス」という映画、ご存知ですか?ジェシカ・ラング主演の、どちらかというと骨太な映画で、hiroc-fontana、ラストの衝撃が今も忘れられない作品なんです。主人公の父親、いまは孫を溺愛している優しいおじいちゃんが、かつてナチス(旧ドイツ軍)にいて、ユダヤ人たち、その女子供にまでも卑劣な行為を働いていたと、生き残った被害者たちから告発されてしまうのが発端。父親は真っ向からそれを否定しているので、ジェシカ演じる弁護士の娘は、その弁護を買って出るのです。優しく穏やかに暮らし、正義感溢れる父親が、虐殺を繰り返したナチスの兵士であるはずがない・・・そう思いながらも、調べを進めるうちに娘はある事実にぶち当たるのです。そして、衝撃のラストは、文字通り、古いミュージック・ボックスの中に隠されていた、というわけです。
 以下ネタバレです。
 最後に弁護士の娘が見つけ出したのは、とある場所に厳重に保管された古いミュージック・ボックス。それを開けると、音楽とともに時計じかけのからくりが動き出して・・・中から古い写真が飛び出してくるのです。それは父の若い頃の写真。その写真は・・・ナチの軍服を来た父が、銃口を若いユダヤ人の娘に向けて微笑んでいる写真だったのです。
 穏やかでユーモア溢れる優しい父。しかし調べを進めるうちに、疑心暗鬼に陥っていく娘の苦悩。そして、最後に飛び出す決定的証拠!映画を観ている観客も、次第に父が信じられなくなっていく娘の苦悩と、最後には決定的証拠を突きつけられてしまう、そのやりきれなさを共有させられるわけです。この映画の凄み・衝撃は、信じる者による裏切り、その“やりきれなさ”にあったように思います。(そういえば同様の映画にビョークの『ダンサー・イン・ザ・ダーク』もありましたね。あれも“やりきれない”映画でした。)
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 さて、民主党のオザワ幹事長、hiroc-fontanaは決して大好きな政治家ではないのですが、脱官僚、命を大切にする政治を進めようとしている民主党の実力者として、なんとか頑張ってもらいたのです。でも、どうやらいよいよ追い詰められているような気がして、いま“やりきれない”のです。
 確かにここに来て、マスコミの報道はかなり大人しくなってきました。例の「関係者」発言もほとんどなくなり、1月末の2度目のオザワ氏事情聴取についても、事前のリークはありませんでしたし、聴取の内容についてもほとんど情報がありません。検察も官僚組織ですから、一部に暴走因子はいても、組織全体ではやはりバランスを取るのが上手いと見えて、ここにきて本当に暴走が止まったように見えます。
 同時に、検察とは直接関係ないにせよ、先週になって鳥取と埼玉の連続殺人疑惑の女が相次いで逮捕されたり、ちょっと前にはオシオが再逮捕されたり、今まで「なんでタイホされないの?」と疑問視されていた疑惑の事件が、何故か突然進展したりしています。これ、一種の「目くらまし」じゃないかと思えてならないのです。ケーサツも、ちゃんとやってるよ、みたいなアピールです。
 そう、最近急激に揺らいできた「正義の味方」としての信頼を、一生懸命回復しようとしているように見えるのです。
 一方、オザワ氏の記者会見は、淡々とした表情にも見えましたし、どこか“覚悟を決めた”ようにも見えました。
 一部では、オザワ氏と検察側で政治決着したとか、逆に検察が決定的な物的証拠を掴んだとか、さまざまなネット情報が流れています。
 以上、それらを鑑みるに、オザワ氏は結局、起訴あるいは逮捕に向かうのではないかと。hiroc-fontana、そんな気がしてきたのです。我々も、検察とマスコミによって、ドーンと、オザワ氏=クロの決定的証拠を見せられる瞬間が、やってくる可能性も出てきたのかな、と。それはきっと本当に“やりきれない”話なのですが。検察が「ちゃんとした組織ですよ」とマスコミを使ってアピールすればするほどに、だからオザワ氏をヤリますよ、皆さん了解してくださいね、と媚びを売り始めてきているような気がしてきたのです。。。
 しかし私は、こうも思うのです。かのロッキード事件、あの事件の背景がかなりの部分明らかにされ、あの事件が単純な“政治とカネ”問題ではなかった(角栄氏を失脚させるために「仕組まれた」事件である)ということが語られ始めている現在、特に一部で検察によるリークや執拗なオザワ氏への集中攻撃に対する批判なども持ち上がっている中で、検察側がオザワ氏起訴、逮捕、という最終手段に果たしてホントーに踏み出すのかどうか、と。
 いま、必死でバランスを考え始めているように見える検察側は、正義の味方、として突き進むのか。
 はたまた、結局、強硬な手は打たずに静かに収束させるのか。
 どちらに進むのかは、国民の反応(声)次第、になってきているのかもしれません。どちらにせよ、目が離せない1週間になりそうです。

 それにしても、支持率が急降下しているアメリカのオバマ政権といい、こちらの鳩山政権といい、旧既得権者たちを相手に闘うというのは、本当に難しいことなのですね。

追記 静かに収束の方向に向かう公算が強まったみたいです。真夜中のニュース。ラストはいまのところ、平凡な幕切れ。

東京地検、小沢氏不起訴で最終検討
2月3日0時9分配信 TBS

 この事件をめぐっては、収支報告書に嘘の記載をしたとして石川知裕容疑者ら3人が逮捕されています。3人は調べに対し、いずれも小沢幹事長の直接的な関与を否定しているもようです。

 特捜部は最高検などと協議を行っていますが、現状では小沢幹事長の関与を立証するのは困難として、小沢幹事長について不起訴処分とする方向で最終的に検討してるということです。

 小沢幹事長を不起訴処分とすることについては、検察内部で一部、異論も出ているということで、特捜部では3人が拘置期限を迎える4日をめどに最終的な判断をする見通しです。(02日23:53)