「a day」原田真二〜名曲も、時既に遅し

hiroc-fontana2010-01-30

 先日のCharに引き続いてのロック御三家、今回は久しぶりの原田真二さん。
 セイコファンにはお馴染みだけど、何故かあまり評判がよろしくないみたいで。俺としては原田さんがプロデュースした聖子さんのアルバム『Sunshine』は結構好きだし、シングルでも「上海ラブソング」とか「Call Me」とか、原田作品は小倉良の90年代の作品に比べれば音楽的にはよほど質が高いと思ったのだけど。どうも、原田さんがギタリストとして聖子さんのバックについたり、バックコーラスで参加したりすると、ファンとしてはかつての“アラン・リード”の影がちらついてしまって、生理的に受け付けない(笑)みたいなところがあったのかしら。残念だけど。
 さて、話が逸れちゃいました、ゴメンナサイ。「a day」は原田真二さんの8thシングルで、1979年9月発売。作詞・作曲はもとよりアレンジまで本人が手がけてます。このころ彼はまだ21歳。ホント、当時は可愛いルックスとは裏腹に、才気溢れたイメージでちょっと小生意気なカンジだったのよね。でもhiroc-fontanaとしては、アフロヘアーにビーバーみたいな前歯を備えた童顔、というのはちょっと「小さな恋のメロディー」のマーク・レスターを彷彿とさせて(マークは既にセクシーな青年に成長しつつあった)、ちょっとドキドキの対象だったのね。真二くんも女の子みたいに可愛いのだけど、どことなくヒミツを抱えたオトコの子のような感じがして、妙に色っぽく思えてね(また話が脱線 汗)。
 そんな原田さん、デビュー当初は松本隆さんから詞の提供を受けて、芸能プロダクションにも所属してアイドル的扱いを受けていたのだけど、それに本人が反発して、2年目には事務所を移籍、秋には作詞・作曲・アレンジすべてを手がけたメッセージソング「OUR SONG」をリリース。エルトンの「Good-bye Yellow Brick Road」のような壮大なイメージのこの曲は、名曲ではあっても“アイドル原田真二”が歌うにはあまりに地味すぎて、オリコン最高位も19位に終わってしまうことに。こうしていわゆるアイドルのヒット路線から自ら退く格好になった真二くんは、翌年の「SWEET BABY」で骨太のブルース・ロックに挑戦してさらに軟弱なファンを振るいにかけて、わが道を進んだわけね。そしてその次にリリースされたのがこの「a day」だった。
 「キャンディ」以来のマッカートニー路線に起動修正。あまりにかつてのファンに冷たくした結果、売上げがジリ貧になってしまって焦ったのかしら?みたいなね。しかし、そんなイジワルな見方をしては勿体ないくらい、これぞ稀代のメロディーメイカー・原田真二の真骨頂、というべきポップセンス溢れる名曲がこの「a day」なのだ。
 「てぃーんず・ぶるーす」にしても「シャドー・ボクサー」や「タイムトラベル」にしても、彼の音楽には洋楽的センスが溢れていると言われるけれど、それは大味なアメリカン・ロックではなくて、どこか一種の湿り気と繊細なエッセンスを含んだブリティッシュ・ロックのイメージがあるのよね。それこそアレンジからしビートルズ「Penny Lane」を意識したような「a day」はその最たるものだと思うのだけど、この曲で言えばサビあとの最後のフレーズ「♪Ah Tomorrow,and so with you」でちょこっとだけメジャーキイを絡ませて、ミステリアスに終わらせていくコード進行なんてホント、細部にまでこだわる職人的なセンスを感じずにはおれないのよね。
 ただこの曲、オリコンでは結局30以内にも入れずに終わり、去ってしまったファンの耳にはもう既に届くことはなかったのだ。そこが残念。

SWEET BABY
今聴くと、この粘っこいメロディー、カッコイイ!

MARCH
こちらは「a day」に続くシングル。気持ちがスカッとする名曲です!

原田真二 Wikipedia
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