結婚式という異空間

甥の結婚式(披露宴)に出席してきた。
それはまるで、ひとりの中年ゲイの、異空間体験。。。

ギラギラとした(悪趣味な・・汗)会場に、一堂に会する、
大勢の身内と、大勢の他人。
舞台上では、知った顔が、まるで演歌歌手のような格好をして
スポットを浴びている。
 
あの、勉強が大嫌いで、話しかけてもはにかんで、
ロクに喋らなかった甥っ子が、檀上で立派に挨拶をしている、
なんとも不思議な光景。
まるでタイム・マシンに乗って、此処に来たような、妙な感覚。
 
そして、演歌歌手(笑)の隣にいる、見知らぬ若くて美しい女性。
彼女が愛を湛えた眼で、彼を見つめている。
不思議な光景。。。
そうか、彼ももう、一人前の男なのだな。(色んな意味でね・・・。)
 
平凡な一般人を主役に据えて、3時間もの長い時間にわたって
繰り広げられる、笑いあり涙ありの、一大エンターテインメント。
身内が主役のそれを、まるで他人事のように醒めて見ている、俺。
 
何十年かぶりに会う、遠い親戚。
昔と変わっているようで、やっぱり、変わっていない。

そして、今日から突然「親戚」になる、初対面の人たち。
あの人も、あの人も、あの人も、か。
 
そう、ここは時間も空間も超越した、「結婚式」という、異空間。
 
その中をアップアップ、溺れそうになりながら、ビール瓶片手に
挨拶に回る、新郎の「叔父さん」(50)。
そう、俺のことだ。
 
親戚連中の中では、若輩に属していたはずの自分が、いつの間に
しっかり「年輩組の一人」として上席に座っているのが、
何より、不思議だ。
 
今迄は、こんな席には、必ず、礼服を着た父がいた。
留袖を着た母がいた。
二人とも、もう、いない。
その代りに、今年の夏に生まれた、男の赤ちゃんが
姪の腕の中で笑っている。
 
それはまさに、時間も空間も超越した、異空間だった。