不思議なヒットソング

 大ヒットもしたし、とっても好きな歌なんだけど、改めて聴いてみると変な曲、てのがある。「聴いてみるとヘン」なのか、「歌ってみるとヘン」というか、そもそも自分じゃマトモに歌えない曲、というべきか。最近の大ヒットでは「大きな古時計」。「お〜お〜きなノッ、ポのふるどけえい、」てやっぱりヘンだ。俺、恥ずかしくて歌えない。平井堅のヴォオカル、だからこそ成り立つ曲であって。これは。
昔の大ヒット曲では山口百恵の「プレイバックPart2」。「ヴァかにしないでよおう。ソッチのせいよおう。ちょっとマッテ!!プレイバッ、プレイバッ。いまのこと〜ヴぁ!・・」って、これもやっぱりヘンだ。俺には、ちょっとマッテ!のところが恥ずかしさのツボで。これも百恵さんが歌うからこそサマになるのである。
 俺の好きな太田裕美さんで言えば「しあわせ未満」がそう。フォーク調を狙って吉田拓郎の「夏休み」なんかを意識した曲だと思うんだが、歌いだしの郷愁を誘うメロディーはどこか愛唱歌チックで、拓郎節というより拓郎氏の元妻ミヨコさんの「赤い風船」ライン(作曲は筒美京平先生)。その日本のアイドルの王道をいくようなメロディーもちょっぴり恥ずかしいが、サビで「はにかみやっさ〜ん!」って裕美さんが叫ぶ。ここが恥ずかしい。それにちょっとヘンテコだ。でもこの曲、何やかやいっても最高位4位までいった大ヒット。実は個人的にも大好きな曲なんだけどね。やっぱり裕美さんの品格のある「ミラクルヴォイス」がこの曲を良質の「ポップス」にまで高める大きな役目を果たした、と個人的には思っているのだけれど。
 ピンクレディーになるともうコミックソングに近い領域だから、あれは全然OK。恥ずかしくない。モーニング娘。も、マツケンも同じようなモノ。最初から「ヘン」を狙ってるからこっちも心構えができる。
 でも、歌い手の技量で、恥ずかしさが巧妙に隠れてしまっている「不思議なヒットソング」って実は少なくないかもしれない。また発掘してみよう。