バカかもしれない?症候群

頭がいい人、悪い人の話し方 (PHP新書)
 「頭がいい人、悪い人の話し方」がビジネス書で長いことベストセラーにランキングされている。俺はまだ読んではいないのだが、先週「めざましテレビ」で特集していて、OLが嫌いな上司に当てはめて「あーあいつ(上司)はやっぱりバカだからあんな言い方するのね。よくぞ言ってくれたわ!バカなら諦めもつくわ!」という風な読み方をして一種のストレス発散に役立てているのだとか。俺も一応部下と呼ぶべき妙齢のご婦人たちと一緒に仕事をしている身分だから、ちょっと嫌な感じだ。早速本屋でパラパラとめくってみたら、愚かな話し方の実例として「知ったかぶり」「具体例がない」「自分の価値観で物事を判断」・・ありゃりゃ、俺のこと?みたいな(苦笑)。
 ところで、昨年のベストセラー「バカの壁」といい本書といい、「誰でも少しは回りの人より自分の方が優れていると思いたい」という心理を上手く突いて売ったな、と思う(養老先生は「バカの壁」があんなに売れるとは思っていなかったようだが)。特に本書はタイトルのつけ方からしてあざとい!
 でも、売れた理由はもうひとつありそうだ。
 そもそも頭の良し悪しっていうのは簡単に判断できるものではない。例えば学校での成績がすごく良くても服のセンスが全くない、てな人が結構いるけど、それは或る意味、状況判断が出来ていないわけで、その面では頭が悪いと思うのだ。要は、場面や状況によって頭の良し悪しの基準は変わってしまうということだ。ところが困るのは、自分に限っては冷静な判断ができない。自分を判断するのはどこまでも「自分の頭」だから。そう、みんな自分のことだけは頭が良いのか悪いのかわからないのだ。そこで「バカ」の基準について書かれている(或いはそのようなタイトルがついている)本が出て、それが売れているとなると、ついつい手を伸ばしてみたくなる。「もしかして自分のことが書かれているかもしれない」と不安に思うからだ。そして「あー自分はバカじゃなさそうだ(わ)。良かった(わ)。でもやっぱりあいつは思ったとおりのバカだ(わ)。」と一人悦に入る。先の俺がまさしくそう。(俺の場合、「バカ」にバッチリ該当してしまったのだが。)
 人間関係は入り組んじゃってるし、世の中は先が見えないし、きっとみんな不安なんじゃないかな。まあ、頭が良ければ誰もが幸せになれるわけじゃなし、頭の良し悪しを気にしてること自体ナンセンス!なんてね。これは「負け犬の遠吠え」か。