じゃんく・ふーど

 今日久しぶりに「焼きそばパン」を食した。この不思議な食べ物。主食を主食で包むという暴挙。怒濤の炭水化物攻撃。イメージ的には、たとえばコンビニで「オニギリ新発売!具にいそべまきを包みました!」とかね。お好み焼き屋で「お姉さん、カレーパン天お願い!」みたいな?あ、でもお好み焼き界はすでにベビースターや「そばめし」なんかが登場している、無法地帯だったか…。
 そんな感じの「焼きそばパン」ではあるが、どっこい食べてみればなかなか美味いのだ。焼きそばとコッペパン、単独では少し頼りない主食メンバーが見せる見事なコンビネーション。焼きそばだけではボリュームがいま一つ、片やコッペパンは単調。それらを補い合う名コンビ。まるで若手漫才コンビみたいだ。
 焼きそばパンの発明者は紛れもなく日本人だと思うが、この日本には同じような不思議な食べ物、ナニゲに多いような気がする。筆頭は先に挙げたお好み焼き一派だ。原材料→うどん粉、キャベツ、紅しょうが。味付け→ソース、鰹節、青のり、マヨネーズ。なんとも頼りないスタッフ陣。その主役は何かと言えば、まぎれもなく「ソース」だ。お好み焼きだって、焼きそばだって、その味は何かと言えば、みんな「ソース」なのだ。昔、縁日で「ソースせんべい」というお菓子があった。鯉のえさみたいなフカフカのモナカみたいなおせんべいに、ただソースをひと塗りしただけのやつ。それが妙に美味しくて・・そう、日本人は単に「ソース」が好きなのかもね。そういえば、俺が子供の頃のオトナはみんな、カレーにソースをジョボジョボかけていたような気がする。俺の親父は、必ずポテトサラダにソースかけてたしなあ。
 あと、俺が妙な食べ物だなと常々思っているのが「かつ丼」だ。揚げ物としての完成品をわざわざ甘いしょうゆだしで煮て、卵でとじる。一体誰が考えたんだろう?でも、そこには有無を言わせぬ美味しさがちゃんとある。実に不思議だ。
 結論は「美味しいんだから、いいだろ?」ということか。自然を受け入れる。ワビサビを知る。これが、日本人の良い所なのかもね。欧米風のガチガチの合理主義じゃ、決して生まれ得ない日本特有のじゃんく・ふーど達。美味しいものは、美味しい、それでいいのだ。