和田アキ子『free soul』

hiroc-fontana2006-06-06

 今回のこの人は、さすがにアイドル・カテゴリーでは無理があるか(笑)ま、番外編ということで。
 学生時代、音楽にちょっとうるさい友達が、一緒に飲むたび、日本で一番歌が上手いのは和田アキ子だ、と力説していた。酔うとしつこい奴だった。俺はなんだかピンとこなかったので適当にあしらっていた。
 実際、その頃のアッコはもう歌手ではなくタレント活動中心だったし、たまに歌うのを聞いても「ハッヒフヘホ〜」の印象ばかりで(デフォルメされたキャラの刷り込みっていうものはホントに強力よね!)俺にはどうでもいい話だったのだ。
 アッコの歌に関する俺のイメージは、その後もずっとそのままだった。
 そんな長年の固定観念を見事に打ち破ってくれたのがこのCD。ある意味、衝撃的だった。そして独白。あいつの言ってたこと、本当だったんだ…。(ただし日本で一番上手い「R&Bシンガー」だけど。)
 ファースト・チューン「どしゃ降りの雨の中で」。イントロのオルガンとブラス、これでもうノックアウトだ。臍の下を直撃する重たいリズムンベース。この曲、演歌だとばかり思ってたのに…。そしてアッコの声。50〜60年代のソウル・ブルース系のレコードにありがちな、力が入りすぎてマイクがハウリングを起こして割れてしまったみたいな声。まさにR&Bを歌うために用意されたような声。思いっきり引っ張るリズムのノリも、まるでソウル・シンガーのものだ。
 そんな調子でイカした曲が続く前半。「バイ・バイ・アダム」「ボーイ・アンド・ガール」「ハート・ブレーク・ドール」「クライング・ベイビー」。このグルーヴ感。う〜、自然に身体がウネルわ。中盤は、ボサやシャンソン風、ジャズなどディナーショウ系アッコが続き、そのど真ん中に名バラード「あの鐘を鳴らすのはあなた」。そして後半は再びファンキー&パワフル(「真夏の夜の23時」「悲しい歌」)そしてドラマティックに(「帰り来ぬ青春」「追憶」)。1枚を一気に聞かせる、そんな構成も素晴らしい。そう、選曲・監修は小西康陽氏なのであった。なるほど。
 数ヶ月前、人気霊能者の番組に出たアッコ。「あなたの後にレイ・チャールズの霊がいますよ」と霊視されて、神妙な面持ちのアッコ。そのとき俺は思わず「ぷっ」とお茶を吹き出しそうになった。しかし・・・このCDを聴いてみると、うん、それも無くは無いな・・・なんて思えてしまうのであった。