第3回東京平和映画祭

 7月22日(土)、代々木の国立オリンピック記念青少年総合センターで開催された表題の映画祭に行ってきた。朝10時から夜9時まで、休憩をはさんで6本の作品を一気に観る。お尻はしんどかったけど、映画は全て心に響くものばかりで、12時間あまりがあっと言う間だった。
 ラインナップは以下の通り。

  • 『Little Birds』綿井健陽監督。イラク戦下の一般市民たち、家族・子供達の現実の声・姿を追う。
  • 『ジャマイカ楽園の真実』ステファニー・ブラック監督。地上の楽園という表の顔の裏で、IMF国際通貨基金)の施策によってズタズタにされたジャマイカの現実から、アングロサクソンにより未だに続いている第三世界への搾取を暴く。
  • 『魔法のランプのジニー』スティーブン・ソター、トレース・ゲイナー監督。アメリカ在住の少年達が撮った「原爆」のドキュメンタリー短編。
  • 六ヶ所村ラプソディー』鎌仲ひとみ監督。青森県六ヶ所村。そこに建設され2007年に稼動する核燃料再処理施設にまつわる地元住民達、それぞれの選択と思いは・・・。
  • 『平和の創り方』きくちゆみ・今村和宏・田中優構成。短編映像と解説、講演。今行われている戦争の知らされざる現実とは。そして日本の現状は?
  • 『映画 日本国憲法ジャン・ユンカーマン監督。世界に誇るべき「日本国憲法」、制定の経緯や平和憲法の意義について、世界的な知の巨人達のインタビューを通じて今一度見つめ直す。

 話は変わるが、俺は所さんのTV番組「笑ってコラえて」のコーナー「日本全国ダーツの旅」が好きだ。地図上でしか知らない日本の辺鄙な場所に住む市井の人々が、やはり自分と同じように普通に笑い、時々泣いたりしながら毎日を一生懸命に暮らしている、そんな姿がリアルに感じられるからだ。つまり、人間はどんな場所に住んでいてもどんな人種でもみんなひとつ、基本のところは同じ、そんな気がしてくるのだ。(多少のヤラセはあるにしても、ね。)
 今回、映画祭を通じて感じたのは、地球どこへ行っても自分と同じように人々が暮らしを営んでいるんだ、という簡単な想像力を、我々は常にもって居なければいけない、ということ。地球の津々浦々に「ダーツの旅」と同じような温かい人間関係が存在しているのだ、ということ。
 『Little birds』は、アメリカによって仕掛けられた戦争で犠牲になったイラクの家族の2年間を記録した映画だが、その中では罪のない子供が何人も死んでいく。そして、最愛の子を失った父親の怒りは、当然、ブッシュそしてそれに荷担した日本に向かうのだ。(テレビでは絶対放映されない映像。)
 日本の親達に問う。北朝鮮の脅威から我が子を守るには、本当に戦争して北朝鮮を叩くのが正しいのか?それによって北朝鮮に住む大多数の一般市民の親子が犠牲になっても構わないのか?そして憎しみの連鎖によって他国から報復攻撃を受けても、自分の子を守り抜ける保証はあるのか?
 そんな想像力もなしに、「危ない国だから制裁しろ」「先制攻撃も辞さない」なんていう政府やマスコミに賛同してはいけないはずだ。一度戦争が始まったら、引き返せないのだ。
 とても印象に残ったのは『六ヶ所村ラプソディー』で、街頭インタビューを受けた老夫婦が、核処理施設の危険性について感想を求められ「もう歳だし、関係ないよ。どっちでもいい。」と捨てゼリフを残したことだ。いま、日本人のかなりの部分が、こういった無関心・無気力状態に陥っているのではないか・・・。そんな、やるせなさ、絶望感に打ちのめされたのだ。なんでゲイで家族もいない俺が日本の将来を心配して、守る家族を持つ親たち・将来のある若者達が今の日本の現実を直視し、将来に向かって何が一番良い選択かを考え、立ち上がろうとしないのだろう・・・。(ひとつの救いは、会場に若者や男性が多くいたことだけ・・。)
 とてもこの思いは書ききれなそうなので、また気持ちが整理できたら書きたい。

Little Birds -イラク 戦火の家族たち- [DVD]

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