麻生タローと情報の海

 8月最後の日曜午前は、テレビジャック?と思えるくらい出まくっていた。麻生タロー。
 俺は、タカ派で歪んだ歴史観のまま不用意発言を繰り返す外務大臣、電車に乗ってきたら車両一杯に加齢臭を振りまきそうなオヤジ、麻生タローが、「嫌い」・・・だった・・・。
 「だった」となってしまったのは、日曜の朝からテレビ番組をハシゴして総裁選に向けた政策論を話すタロー氏を見て、少しイメージが変わってきたからだ。
 このヒト、案外、ちゃんとしてるのかも、って。
 小泉改革については、確かに東京、名古屋など大都市では大きな成果が上がったが、地方は一向に良くなっていない、と率直に答えたり。日本の底力という主張の中では、日本の技術力の凄さを示す一つの例として、一定量(数字は忘れた)の石油からモノを最も多く生産できるのは日本が世界ダントツ1位である、という具体例を挙げて、少子高齢化問題さえもその生産力で乗り越えられる可能性があることを強調したり。あと、法人税が順調に伸びている現在、消費税を上げるのは景気の腰折れを招くだけだ、という主張とか。
 まあ、全部を覚えているわけではないが、これらには、正直、うなずけるところが多かったのだ。
 どういうことだろう?安倍シンゾーがダンマリを決めていて、口を開けばその主張があまりに中身が無くて酷いから、麻生タローがこんなにまともに見えてきちゃったのかしら?
 泡沫候補なのに、何故か麻生氏や谷垣氏ばっかりが頑張っている構図。これも「総裁選を盛り上げろ」っていう自民党の命令なんだろうし。ポストコイズミ政権では、この二人、多分重用される約束なんだろうし。もしかしたら、短期政権の可能性が高い安倍は今回単なるワンポイントみたいなもので、次はお前たちだよ、と、そそのかされているのかもしれない・・。なんてね。
 情報の海に溺れているなあ、俺。  そう思う。
 麻生タローについて、俺が何を知っているかといえば、自分で取捨選択してきた(はずの)情報だけ。本当は、何も知らないのだ。会って話したことなんて当然無いのだから。つまり、すべて受け売りなのだ。例えば、安倍に対する評価だって、ネオコン系・リベラル系のブログを満遍なくサーフィンしてみれば、その振れの大きさに驚くはずだが、情報発信者だってほとんどが、どこかから何らかの情報を得てそれを信じて断じているに過ぎないのだ。ある人物にまつわる良い話、悪い話。その信憑性を測る手段は、この情報の海の中では大海に落とした指輪を見つけ出すに等しいくらい、難しいのかも。
 マスメディアに作られたイメージに騙されるな。そう思ってきたけれど、結局、俺も騙されているのかもしれない。でも、騙されているかさえ、確かめることができないんだ、そんなやるせない思いを抱きながら、麻生タローの曲がった唇を見つめていた俺。あ、いつもより、嫌悪感がない・・・ヤバイゾ。

※追記:こんな話もあるそうで・・・→(発掘屋さんのブログ from 逍遥録 −衒学城奇譚− )http://ameblo.jp/servlet/TBInterface/10016479891/a5359ad0