ザッツ・エンタテイメントPART3
ミュージカルが好きだ。マッチョな否定派には確かに突っ込まれどころ満載だけど、恋するふたりの語らいが唐突に伴奏つきの歌になっちゃったって、掃除のオバサンが突然バックダンサーになっちゃったって、いいじゃん。だって、それがミュージカルだもん。
思えばある意味、PVだって、現代のミュージカル映画とも言えるよね。口パクで、ストーリーあり、ダンスありで。だから俺、PV集を鑑賞するのも好きなんだけど、例えば「あのPV、カッケーよな」なんて言える人なら、この映画を見れば昔のミュージカルの凄さが絶対わかると思うし、本当のエンタテイメントの奥深さに、目からウロコだと思う。
このザッツ・エンタテイメントシリーズは、MGMシネ・ミュージカルの名場面を集めたアンソロジーもの。いわばアメリカのミュージカル映画黄金時代、その名作たちのオイシイ場面だけを一挙に楽しめる映画なのだ。ミュージカル映画入門編としてもオススメ。
Part1、Part2の制作はそれぞれ1974年、76年だが、このPart3は1993年制作。時代がデジタル社会に移ってからの制作だけあって、作品中紹介される過去のミュージカルはほとんど40年代〜50年代ものであるにもかかわらず、映像もサウンドも、全2作に比べて格段に美しくなっていて楽しめる。また、本編ではカットされた未公開アウトテイクも数多く紹介されていて、マニアにとってはドキュメンタリーとしても楽しめるだろう。
あと、俺としては、過去のスター達がホストとして当時の裏話なんかを語っちゃうのもツボ。ドーラン効果でまるで蝋人形のようになったジジババが、原色のスーツにアクセサリージャラジャラで身ブリも大袈裟に、過去の栄光についてトーク。誰もいないスタジオを歩きながら、もちろんずっとカメラ目線なのね。ときどき遠い目をしたりして・・・そんなところが何だかすごく、アメリカっぽくてウフフ・・な感じ。
そういえば、1940年代といえば、第2次世界大戦の真っ最中。「暗い時代における人々の最大の娯楽がミュージカル映画だった」とはいうけれど、一方で国民全員が貧しさに耐えて挙国体制で戦争に向かっていた我が国を思えば、そんな時代に芸術的かつゴージャスなミュージカルを量産していたアメリカ人のこのバランス感覚というか、ある意味ノー天気さには、おそれいりました、というしかないよな。
- 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
- 発売日: 2004/11/19
- メディア: DVD
- クリック: 3回
- この商品を含むブログ (11件) を見る