おすすめ本〜「身につけよう!江戸しぐさ」越川禮子著

身につけよう!江戸しぐさ (ロング新書)

身につけよう!江戸しぐさ (ロング新書)

 我が家は一応3代続く江戸っ子だけど、正しくは「江戸」というより「東京っ子」なのかな。まあそれはさておき、清廉潔白で「粋 〜いき〜」が信条の江戸っ子でなくとも、郵政造反組復党問題のゴタゴタなんぞを見るにつけ、近頃の「お上」の皆々様の行い(しぐさ)は、「無粋〜ぶすい〜」以外の何物でもない・・・。ほんとにみっともないし哀れだし滑稽だし。お上がこんな状態を晒しながら美しい国教育再生もへったくれもないもんだ。
 問題は、「想像力の欠如」。そこに尽きると思う。みんな自分の都合しか考えていない。周りにはどう映るか、国民はどんな風に思うかなどはお構いなし。
 上がそうだから、いまは日本中みんな底抜けの自分勝手な世の中になっちゃった。自分さえ良ければ他人の迷惑など顧みない人ばかり。
 自分の都合ばかりで傍若無人に動くのは、この本で言うところの稚児しぐさ。それは江戸では大人気なく軽蔑の対象でしかなかった。その前に人様といかに心地良く付き合うか、ひいては人様をいかに気持ちよくさせるか。常に関わる相手の気持ちを想像しながら、そうした態度を自然に身に付けるところまでいってしまう、それこそ大人の「江戸しぐさ」。
 この本の帯のコピーはこうだ。

江戸しぐさは「共により良く生きる」ために、上に立つ者こそが心得ておかねばならない「融和のしぐさ」「平和のしぐさ」であり、人類の貴重な無形文化財である。

 「上に立つ者こそが」。これだよ、これ!
 まだ今も、われわれのDNAの奥底に眠っているに違いない「江戸しぐさ」。その振る舞い、それがいかにスマートで美しく、合理的でかつ人に優しいものであるか、少しずつでも我々年長者が実践して後輩に見せること。それが一番の「教育再生」への近道なんじゃないか、そんな気がした。センセイ方にこの本、ぜひ読んでもらいたいくらいだ。忙しい人にもすごく読み易いしね。
 ちなみに俺、電車で人を掻き分けて降りるとき、ひとこと「すみません」と必ず声かけすることを実践しているのだ。みなさんも、そのくらいは是非、ね。