We didn't start the fire

世界の失業者、過去最悪の1億9520万人
1月25日14時54分配信 読売新聞
 【ジュネーブ=渡辺覚】
 国際労働機関(ILO)が25日発表した世界の雇用情勢に関する年次報告によると、2006年末時点の世界全体の失業者は、前年を約50万人上回る推計約1億9520万人にのぼり、過去最悪を記録した。
 失業率は、前年から0・1ポイント改善したものの、6・3%の記録的な水準で高止まり。報告は「世界各地の経済成長が雇用情勢の改善につながっていない」と指摘し、失業者数・失業率ともに、07年も同様の水準で推移すると予測している。
 また、若年層(15〜24歳)の06年の就労率は46・8%。高学歴化による就労年齢の上昇に加え、各国で仕事に就けない若者が増加している事実も背景にあり、特に先進諸国では若年層の失業率が、25歳以上の層の2倍以上に上っていると指摘。「若年層の労働力を活用できないのは、社会の潜在的損失だ」と各国政府に警告した。

 文藝春秋の最新号に御手洗経団連会長が寄稿している。例の「希望の国、日本」という、わけの分からないスローガンを補足するような内容だ。それを読んでみた。要は、これからの日本が発展してくためには、グローバルな展開をしている大企業を経済の牽引役(彼はそれを「エンジン」と表現している)として発展させていく以外に道はなく、そのためにはより一層の規制緩和が必要だ、という主張だ。いわゆる「上げ潮路線」というやつ。法人税減税とかホワイトカラーエグゼンプションとか、庶民からすればトンデモナイ主張も、そこから出てきているわけだ。
 最近、同じような理論を展開する御用学者たちのコラムを立て続けに読んで、それも一理あるな、と思うようになった。
 確かに、資源もなく小さな島国に過ぎない日本という国が、グローバル化が進んだ世界の中で発展を続けていくためには、得意分野である質の高い工業製品やサービスを、世界を相手にして売り続けていくことしか、進むべき道は無いのかもしれない。そう、確かにそれが現実的だ・・・。でも、それで本当にわれわれ庶民は幸せになれるんだろうか?成長だけが、そんなに大切なのだろうか?そう考えていた矢先、冒頭のニュースを目にした。
 やっぱり、そうなんだよね、今のグローバル化社会の現実は。いくら世界中が空前の好景気だといっても、日本がいざなぎ超えだって言っても、それは一部の勝者が必要以上に勝ち続けている、というだけの話。その好景気の波に揉まれて、水面下でもがいている「負け組」の人々は世界中で天文学的な数字で増え続けているに違いない。光が強くなっている分、影はどんどん濃くなっているのだ。
 今、日本はそんな世界の中で一生懸命「フツーの国」になろうと、まっしぐらに進んでいる。とにかく売れそうなものを安くたくさん造って市場を独占して、たくさん消費してもらって、しこたま儲けて、また次々と新しいものを造り・売る、そういう世界。俺たちは始めっからそのサイクルの外にいるんだ。あとは「売り買い」に巻き込まれるだけ。やれやれ。
 この火の車に、僕らが火を付けたわけじゃない。でも、もうあと戻りはできない。たぶん。