ミッちゃんにひとり高笑い

 「ひとり上手」な筈の中島みゆきさんは、こう歌っている。

誰だって旅くらいひとりでもできるさ
でも、ひとりきり泣けても
ひとりきり笑うことはできない  (「with」)

 いいえ!
 俺は今夜もひとり、笑っているのだ。
 このCDを聴きながら。 リップサービス
 そのCDの主役は清水ミチコ。今さら、って感じを抱く人も多いかもしれないけど。でも、この人がモノマネするユー●ンや矢野顕子桃井かおり楠田枝里子やその他多くのレパートリーは、ツウな人々の反復鑑賞にも耐えうる、圧倒的な完成度を持っているということを、多くの人は否定しないと思う(おそらくマネされる本人以外はね。笑)。俺もそんなわけで、ふとCDショップで目に留まったこのCDをついつい衝動買いしちゃったというわけ。あ〜、あの「冗談画報」の衝撃をもう一度、みたいな感じでね。
 この人の凄さというのは、素材の目立つところをデフォルメしたりアレンジして面白くする、単なる「モノマネ」ではないところ。素材となる人物の「エッセンス」とか「本質」を抽出して、それを再構築しちゃってる。例えば歌手のマネをするにしても、その人の持ち歌でマネするのではなくて、音楽(詞とか曲とかサウンドとか)ごとマネしちゃう離れ業。あとは「ユー●ントーク」に代表される、口調だけでなく本人がいかにも話題にしそうなテーマごとマネしちゃったり。れっきとした芸術としての「パロディー」になっているのね。「騙し絵」「トリック・アート」に近い楽しみ方ができるというか。「ありえないけど、本当にあるような気がする、そこが楽しい」という、ね。それがこの人の芸が何度聴いても楽しめるゆえんのような気がする。
 難しい話はさておき、「希望の星」の見事なみゆき節にフフッとし、「入れ歯のカスタネット」では某ビッグアイドルの登場にハハッと声を上げ、「My Black Eyes」では黒き瞳のアノ女優のズカ風ヘタウマ歌唱の再現にワハハと高笑いしてみてほしい、と思うのだ。あと、陽水の新曲「欲望」もオススメ。ちなみに曲はすべて清水ミチコの書き下ろし!
 でも、俺はどっちかというと、1作前のこっちの方が完成度が高いと思うのだけど。↓ すべての「話のわかる」40代に贈る、超プッシュ盤。

歌のアルバム

歌のアルバム

                文責:清水ミチコ「再」普及委員会