大臣の自殺を「禊ぎ」で終わらせてよいものか

 自ら死をもって償った・・・。
 死者に鞭打つような行為・言動は控えるべきである・・・。
 日本人の情緒に訴えかけるこれ等の言葉が、「なんとなく雰囲気として」早くも蔓延し始めているような気がする。「禊ぎは済んだ」というような。全ては松岡元大臣ひとりの責任に帰結してしまうような。
 我々はこの、ショッキングな事態に一度は呆然とし、その後じわじわと訪れるカタルシスによって、どうしても情緒的な方向に流されがちだが、今こそ、俯瞰的な視点から今回の事態を見続ける努力を忘れてはいけないような気がするのだ。
 「現役の」大臣が自殺した、という事実の、その特殊性をね。それは、今の安倍内閣で起こった、そのことをね。
 最後に、かの鈴木宗男氏の「ムネオ日記」に興味深い記事があったのでリンクしておく。http://www.muneo.gr.jp/html/page001.html
 〜以下、引用〜

 その時私は松岡大臣に「明日決算行政監視委員会で私が質問するから、国民に心からのお詫びをしたらどうか。法律にのっとっている、法律に基づいてきちんとやっていますと説明しても、国民は理解していない。ここは国民に土下座し、説明責任が果たされていませんでしたと率直に謝った方がいい」と進言したら、力無く「鈴木先生、有難いお話ですが今は黙っていた方がいいと国対からの、上からの指示なのです。それに従うしかないんです」と、弱気な言いぶりだった。

 この記述が真実だとすれば、少なくとも、松岡氏一人が死をもって責任を果たせば終わる話でないと思うのだ。
(追記)
 松岡氏の自殺に関しては、この記事のムネオ証言以外にも、国策調査(アメリカの意向)で追い落としが図られたとか、マルボウの借金がらみでの他殺説とか、さまざまな憶測が飛び交っている。ただ、これら「陰謀説」を採用した場合、安倍くん自身がわざわざ自分の政権に打撃になるようなことに手を貸すはずもなく、安倍くんの責任を追及するには苦しい。すべて松岡氏本人の疑惑に帰結してしまうように思う。もちろんマルボーやアメリカによる安倍くんへの「ゆすり」と考えるなら話は別だが、そこまでいくと本当にあまりに闇が深すぎて、正直、真偽を確かめようもない話になってしまう。
 ただ俺は、ドサクサの中で安倍くんがこの件に頬かむりして早くも「通常業務」に戻り始めたことで、結局何も責任をとらぬまま、この調子では参院選で惨敗してもシャーシャーと続投宣言しかねないなあ、という気がしてきたのがとてもイヤなのだ。スキャンダルをバネに強くなる、なんて芸能界だけで十分だ。このまま終わらせてはいけない。(H19.05.31)