魅惑の定期健診

 今日、定期健診を受けてきた。もう40代の俺だから正確には「生活習慣病検診」となるわけだけど。
 昨夜21時以降、飲まず食わず。一日のパワーの源は朝食から・・・がモットーである俺にとっては、朝食抜きは痛い。ボーっとしたまま健診会場に向かうことになった。
 健診会場では、おやじのステテコみたいな検査着に着替えさせられて、「2階で採血です」「4階でレントゲンです」などと、あちこち引きずり回される。回りを見れば、同じステテコを着た見知らぬ中年男がいっぱい。みんな虚ろな目で歩き回ってるのがなんだか可笑しい。
 でも、この健康診断(あるいは人間ドック)の風景にどこかエロチックな雰囲気を感じとっている俺がいる。
 よく見ると、普段はピシッとスーツで決めていそうなダンディーなおじ様とか、やり手そうなチョイワルのイケメン兄貴とかがみんな、薄い検査着を身につけて、カラダを調べてもらいに来てるってこと。そんな感じが何だか、普段は意識しない他人の「生身の部分」が伝わってきちゃう感じがするのね。。。この感じ、わかるかな?
 まあ、それはそれとして、今日の検査はベルトコンベア式に流れ作業で進み、最後は胃のレントゲンだった。検査室にはコップに大量のバリウムが。
 「一気に飲んでください」と検査技師。
 いつも勇気の要るこの瞬間だ。目をつぶって飲むと・・・
 「お、おいしい!!!」
 朝食抜きで、空腹も限界だった俺は、いつの間にか大量のバリウムをゴクゴクと喉を鳴らして飲み干していたのだった。さすがに飲み干した後「ぷはー!」と息を思い切り吐くことはしなかったけどね。そんなバリウム君も俺のお腹を満たしてくれたのは束の間で、検査後に渡された下剤の効果で1時間ほどで見事に体外に出ていってしまったのでした。俺としては、人間の体ってやっぱり単なる「管(くだ)」なのよね、って思い知らされたわ。
 そんな感じで終わった今回の(魅惑の)定期健診。いつになくちょっと浮かれちゃったけど、結果が出るまではやっぱりドキドキなのですよねん。