暴走機関車を止めるには

 安部自民の支持率はどん底の様相だけど、それでも自民党の支持率は政党のなかでトップ。まあ、自然な話の流れでいけば、これは野党第一党民主党が「だらしない」から、ということになる。反与党を標榜するブログにもそういった意見で結ばれているものが多い。
 でも、いま民主党を叩いて得するのは誰か?それをよく考えましょうよ。
 リベラル系の総合誌「現代」8月号を読んでみて驚いたのは、安倍内閣政権運営のまずさを指摘する評論でさえ、後半ではいつの間にか、満身創痍の与党を攻めこむ決め手を持たない民主党に政権を任せられるか(いや任せられっこ無い)という、反「民主党」の結論でまとまられていたりして、選挙を目前に(おそらく与党のマスコミへの圧力から)反民主党キャンペーンが始まっているのではないか、ということ。安倍内閣ではもう起死回生は難しいから、せめて相手を潰そう、という意図ね。
 俺が良く訪問するヤフーの「みんなの政治・みんなの議員評価」コーナーを見てみても、テレビの政治バラエティ番組で少年法改正に反対した民主党(郡・平岡)議員に対する風当たりがもの凄くて、ここしばらくはクリックしてもこの二人への批判記事ばかりだった。(俺、その政治バラエティを見ていないので、両者がどれほど酷かったのかはわからないのだけど。)昨日あたりからQさんの非国民的発言があってさすがに多少は沈静化したみたいだけど、少し前に年金問題に関する番組でギャーギャー騒いで評判を落としたO・H議員(自民党)や、同じく菅さんへの責任なすりつけパンフで馬脚をあらわしたK・S議員(自民党)への批判に匹敵する数の書き込みがあった。それこそ自民シンパにとっては積年の恨みを果たしたぞ〜、鬼の首を取ったぞ民主党、という感じ。
 7月2日放送の「TVタックル」もひどかったね。さながら民主党議員を出演者総がかりで攻撃するみたいな酷い内容で、あまりに醜くて見るに耐えなかった。やれ民主は文句ばっかりで政策に具体性がないだの、一度も政権を取っていないのに年金問題を解決できるはずはないだの、御用評論家を集めて言いたい放題。まあ、あの番組はいつもそうだけどね。
 それともうひとつ、テレビのニュースではちょこっとしか放送されなかったけど、与党はこんなこともしてるのよね。知ってました?

 衆院決算行政監視委員会で4日午後、民主党仙谷由人委員長が05年度一般会計歳入歳出決算などに関し委員会の開会を決めたのに対し、与党が“審議拒否”する珍事があった。委員長と民主党の約10人が待ったが与党は現れず、流会となった。衆院事務局は今回の事態に「聞いたことがない」と話している。与党は参院選を控え、原爆発言などの質疑に応じることは得策でないと判断したとみられる。 (共同通信

 与党としては05年度の会計決算についての審議だから開催不要と判断した、とか、その中で年金問題や原爆発言を突かれても趣旨が違う、とかいう言い分なのかもしれないけど、やっぱりこれはスジが通らない。与党の都合で12日間も会期を延長したのだから、血税を使ったその日数は最後まで議会としてすべきことは全うするべきで、強行採決で全部終わったから会期の残り時間は何もしなくて良いというのでは、あまりにも我々をバカにしている。少なくとも、決算行政監視委員会のために集まった民主党議員10名が無為に過ごさざるを得なかった4日午後の貴重な時間に見合う議員報酬は、無駄になってしまったわけだから、会期延長の責任を負うべき与党が、しっかりと国民にそのことを報告し、釈明すべきだ。
 そして、これまで野党の審議拒否には批判的だったマスコミが、この(与党にとってマイナスイメージになりかねない)審議拒否のニュースにはほとんど口をつぐんでいること。これが不思議なのだ。圧力の匂いぷんぷん。
 民主党をはじめ、野党のふがいなさは認めざるを得ない。でも、こうした数の暴挙で議会政治・民主主義を破壊し続けている今の与党を、何とか止めなければ日本は本当に危ない。そのためにも今度の選挙で与党に大敗させて、現与党の持つ「数の力」を奪い去るしか方法はないのだ。そこを忘れて野党批判に加担している場合ではないのだ。
 これから吹き荒れるであろう民主党バッシングに、くれぐれも気をつけろ。