洋楽を聴くという贅沢
- アーティスト: ニュー・エディション,オムニバス,デバージ,アトランティック・スター,クール&ザ・ギャング,ライオネル・リッチー,メリー・ジェーン・ガールズ
- 出版社/メーカー: UNIVERSAL INTERNATIONAL(P)(M)
- 発売日: 2008/01/16
- メディア: CD
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映画「バック・トゥー・ザ・フューチャー2」の中で「カフェ・エイティーズ」というのが出てきて、たしかマイケル・ジャクソンの曲がオールディーズ扱いで出てきたりしたよね。設定は2015年。あの映画が作られたのが80年代だったからそれがパロディになってたわけだけど、ふと今、ホントに自分がリアルにそんな時代(あの頃の、未来)に生きてるんだ、ってことに気がついてちょっとビックリ。
さてこのCD、100曲入り5枚組で4,000円しないっていうのがまずお得感たっぷりでいい。ユニバーサル系のコンピCDであるこの5枚の中には、バラエティに富んだ音楽が満載。ティアーズ・フォー・フィアーズもジョー・ジャクソンもいるし、エイジアが出たかと思えばビッグ・カントリーやABCといった英国勢、「カモン・アイリーン」のデキシーズ・ミッドナイト・ランナーズなんかも入ってる。ブラック勢ではクール&ザ・ギャングを筆頭にデバージやジョディ・ワトリー、ボビー・ブラウンといった顔ぶれ。そのほかにもティファニーとかロバート・パーマーとかスザンヌ・ヴェガとか、スティーブ・ウィンウッドとかソフト・セルとか、あれとか、これとか、それとか。。。。ん〜、たまんない!
確かに80年代のベストヒットを銘打っていながら、ここにはマドンナやマイケルはもとより、ジャネットもホイットニーもブルース・スプリングスティーンも、ビリージョエルやボンジョビさえ、居ない(要はワーナーやEMI、ソニーBMG系のアーティストが未収録なわけね)。なんだか「主食・主菜抜きの晩餐」みたいな感じではあるのだけど、でもね、このちょっとしたハズシ具合、これこそが俺が愛した80年代の洋楽なのよね。
当時、ラジオ関東というAMローカル局で、土曜の夜に「アメリカン・トップ40」という番組が放送されていて、それはアメリカのビルボードトップ40をカウントダウンするラジオ・ショウだったんだけど、俺、毎週欠かさず聴いていたのよね。番組を聴いて、たとえば最高位35位に2週くらい留まって、すぐに消えちゃうような曲の中にたま〜にビックリするくらいの名曲(自分だけのお気に入り)を見つけたりするのが一つの楽しみだったのね。そんな「アメリカン・トップ40」で知った隠れた名曲たちを、音の良いFMで色んな番組から必死にエアチェックして集めて、自分だけの名曲コンピレーションカセットを作る、ってのが当時の俺の密かな楽しみだったのだ。
だからこのCDを聴いて、このバラエティの豊富さと、不思議にメインストリームから外れた選曲に、俺はノックアウトされちゃった。なんだか、あの頃の自分のオリジナル・カセットテープみたいで(笑)。
リアルタイムで洋楽を聴かなくなって久しい。理由はいろいろあるけれど、やっぱり心に余裕が無いと、日本語で歌われていない音楽には心揺さぶられないのかもしれないな、なんて思う。80年代のあの頃、純粋にイイ曲を探して、外国の歌詞を必死に覚えたり、対訳つきの歌詞カード首っ引きでやっとこさ歌の内容に入り込んで味わった喜びっていうのは、とても贅沢な時間だったのだ。このCDを聴いてあの頃を追体験しながら、そう思った。