ゲイ・アイデンティティ、崩壊の危機!

 先日、ネットサーフィンしていたら、イツの間にかアダルトサイトにはまり込んでしまって(よくあることよね、笑)とても過激な画像と遭遇してしまったのね。もちろんサイトは「一般男性向け」で、画像の主役はうら若き女性だった。
 で、俺はそれにとてもコーフンしてドキドキしてしまったのだ!女性のハダカにドキドキするなんて、こんな反応、ウン十年ぶりのことだ。

 時を同じくして、俺が尊敬しているある人から、こんなことを言われた。
「亡くなったご両親のためにも、何よりあなたのためにも、そろそろ人生の伴侶を見つけませんか?」
 俺が尊敬してたその人はもともと「人にはそれぞれの人生がある」という考えの持ち主だったので、俺が40歳をとうに超えていまだに独身でいても、それについては一切触れないでいてくれた人。だからこそ、予期しない言葉を投げかけられて俺の気持ちは揺らいだのだ。
 思いがけず女性に反応しちゃった自分なのだし、ひょっとしたら俺にもまだ、「結婚」という選択肢があるのかしら・・・ってね。
 数十年前の俺ならまだしも、今の自分なら確かに誰かと一緒に住んでも何とかうまくやっていけるかもしれないし。このまま一人で死んでいくのもいろいろと準備が面倒だし(←死ぬことの恐怖って、この程度なのよね、笑)。何より、今までゲイで独り身であるというだけで、ずいぶんと肩身の狭い思いをしていたのではないか?とかね。親戚とは疎遠になり、友人も自分から選別し、職場でもどこか引け目を感じていた。俺は単に強がっていただけなのではないか、と。突然にそう思えてきたのだ。フツーに結婚さえしちゃえば、そんなこんながすべて丸く収まっちゃうような。。。
 ただし、いざ結婚となれば、親戚とのつきあいとか、相手方の家族との関係とか、逆に面倒なことばかり増えるのも確かで。それに、結婚によって、今の自分の心の拠り所ともいえる、多くのゲイの友人たちを失うことになるのではないか?もしかしたら、彼らは俺を「裏切り者」として敬遠するかもしれない、というのもあって。
 思いは錯綜した。
 でもそうしてみると、俺はやはりすいぶん無理を重ねた上で、自分の人生を自ら厳しい方向へ向けてきたのかもしれないし、今の一見幸せな人間関係も、それは一時的なもので、危うい砂上の楼閣に過ぎないのかもしれない。そんな気持ちになりかけてきた。
 hiroc-fontana、43歳にしてゲイとしてのアイデンティティ、崩壊の危機!
 しかし。すぐに考えは変わった。いや待てよ、俺の周りに既婚者でゲイの友達(その多くはオヤジだけど)がイッパイいるじゃん、って。
 そうなのだ。どのみち、ゲイを隠して結婚したとしても、オトコが嫌いになれるはずもないのだ。子供の頃からオンナの子にはからっきし興味が無くて、一生懸命にオンナの子と付き合ったりもして頑張ったけど、やっぱり無理で、だから俺、ゲイとして生きることにしたんだから。こんな俺が、結婚してオンナに目覚めたとしても、オトコを嫌いになれるか?
 無理無理っ!(笑)
 結婚。そっちのほうがよっぽど無理で、却って面倒が増えるだけ、って結論ね。