セイコ・ソングス14〜「花びら舞う季節に」

花びら舞う季節に

花びら舞う季節に

 いつの間にか自作自演アーティストに変身していたセイコさん。「花びら舞う季節に」。この曲も彼女らしい素直なメロディーが耳に心地よくて、悪くない出来なのよね。昨年のアルバム『Baby’s Breath』をはじめとして最近のセイコさんの自作曲って、例えば過去の曲で言えばユー●ンや細野さん、大滝さんあたりの作品がセイコさんのキャラ拡大・才能の開拓に貢献した「尖端曲(または異端曲)」であったとするなら、それとは全く逆の、セイコさんの王道をいく「中庸曲」、例えば財津さんや林哲司さんや来生さんあたりの作品に近いような気がするのね。つまりは決して強く印象に残る曲ではないけれど、アルバムの中心を構成して高いクオリティをキープするには欠かせない優等生ポップスたち、という感じ・・・わかるかな?最初はインパクトに欠けるのだけど、何度か聞いているうちにいつの間にか口笛や鼻歌でなぞってしまっている曲、みたいな感じね。
 デビュー25年を過ぎて、いよいよその表現手段を曲の創作にまで広げてきたセイコさんは、洋楽のパクリを一周して、最後に自らの根幹的部分を形作ってきたそれらの(中庸な)曲たちをやっと自分のものとして消化した、ということなのかもしれないね。あとはどれだけ、自らを内面から打ち壊すような尖端の作品を生み出していけるのか、いよいよ勝負はこれから、なのかもしれないね。(なんてあまり期待し過ぎると、あっさり裏切るセイコたんだったりするのだけど(笑)。)
 ところで、5月にはニューアルバムも発売予定だそうだし、彼女クラスのアーティストがほぼ年1枚のペースで新作を発表し続けるというのはホントに凄いことだと思う。たとえば、最近離婚してウン十億の慰謝料を払っても痛くも痒くも無いないというポール・Mだとか、日本人で言えばソロでもグループでも稼ぎまくってる桑田・Kとか、もう一生分どころか孫の代まで稼いじゃったであろうアーティストたちはいっぱいいるけれど、やっぱり彼らもいまだに新作を発表し続けていたりする。セイコさんだってこんなに毎年新作を出さなくても、否それこそもう何にもしなくってもいいくらい、稼いでると思うのだよね。
 それなのに新作を出し続けるという彼らの、その原動力は何なのか?と問うたとき「彼らの中にある純粋な創作意欲がそうさせている」としか、考えられないのだよね。もちろん、ファンに崇められる恍惚感とか、ライブやレコーディングの楽しさとか、もちろんもっと稼ぎたい、なんて思いもあるのだろうけれど、やはり、もっと良いものを作りたい生み出したい、という意欲がなければ、これだけビッグな人たちは動かない(動けない)のではないかな、と思うのだ。(俺はもちろんそんなビッグな人の気持ちなんてわからないから、あくまでも想像だけどね。)
 そんなわけで、セイコさんのセルフプロデュースについては依然として賛否両論あるものの、少なくとも今の彼女は曲を創って歌うことが楽しくて仕方ないのではないかな?そんな気がする。キラキラと輝くような春を感じさせるシングル「花びら舞う季節に」からは、特にそんな「喜び」とか「楽しみ」が伝わってくるような気がするのだ。
 さて、新作アルバムの詳細内容はまだ発表になっていないけれど、おそらく自作曲が中心になると思う。タイトルは『My Pure Melody』とのこと。ファンとしては、ちょっとだけ、期待しちゃおうかな。