ゲイはひとつの個性でしょ

 歓送迎会のシーズンですね。これが俺にはね、「勘。そう、ゲイ?」会に思えちゃうのよね(笑)
 今年もやっぱり後輩女性から訊かれたの。「hiroc-fontanaさんてオネエマンですか?」って。俺、もう面倒くさいので「そうよ、悪い?」て答えるようにしてるんだけど、普段はバリバリ仕事してて男も女も関係ない職場のはずなのに(ここは少し脚色)、いざこういう場面になると、なにが面白いのかこういうことを根掘り葉掘り訊いてくるヤツが必ずいるのだ。それが面倒くさい。
(嘘です。俺は職場ではカミングアウトしていないので、ゲイかどうか聴かれてもつい「よく言われるけど、本当は違うんだよね」なんてテキトーにごまかしちゃう。それが、いけないのだ。)
 普段は「ゲイで何が悪い?」なんて心では強がっていながらイザとなるとテキトーに誤魔化す、そんな自分がイヤで。あとで必ず自己嫌悪に陥る、それもイヤで。だからこういう、職場の飲み会はいつもユーウツ。
 ゲイであることをテキトーにごまかすっていうのは、俺自身気付かない部分で、ゲイであることに後ろめたさ、あるいは恥のようなものを感じていることの裏返しだから、それを目の前に突きつけられる瞬間でもあるのよね。
 そこを何とかしないとな、といつも思ってる。
 以前、オネエの仕草は先天的なものか後天的なものか、ということでゲイの友達と議論したことがあるのだけど、俺は、多分それは先天的なものだと思うのよね。例えば「小指を立てる」とか「小首をかしげる」とか、それをガタイのいいオトコがするから滑稽に見えて、ホモ嫌いの人からバッシングされたりするのだけど、そういった基本的な女性らしい仕草や立ち振る舞いって、ほとんどどこの国でも共通しているものだよね。それは例えば中世ヨーロッパで生まれた「美しい仕草」があるとき日本に輸入されて広まった、なんてことでは決して無いはずで。ほとんどどこの国でも女性は生まれながらに人形が好きで、小指を立てて花の髪飾りを作る、そんなものよね。それはたぶん、染色体やホルモンの影響で、そういうふうに脳や身体が作られているから。それが俺の理論。
 同じように、ゲイのオネエは自分がゲイを自覚してからオンナの仕草を一生懸命に覚えるのではなくて(中にはそういう人もいるけど)、生まれながらにそういう素質を持っているのだと思うわけ。物心ついたときから電車のオモチャよりママゴトが好きで、野球選手よりもアイドルが好きで、声変わりしてもヤサシイ声で話をする人たち。病気ではないし、自分でなりたくてそうなったわけでもないし、ましてや努力して身につけたものでもない。天然パーマだったり、瞳の色が灰色だったり、左利きだったり。そういうこととある意味、同じかもしれない。そのように生まれてきただけ。
 ゲイだって、仕事も生活も会話もスポーツも趣味も、何だって人並み(あるいはそれ以上)にできるのに。(生まれながらに)オンナとセックスできない、したくない、ただそれだけなのに、それに多少の後ろめたさを感じ、ゲイであることを隠してしまう。
 「そうよ、俺はゲイだよ。ゲイはひとつの個性でしょ?悪い?」
 胸をはってそういうふうに言えるようにしないとね。