夢の小箱

hiroc-fontana2008-04-05

 無事届きました。太田裕美さんの紙ジャケアルバムBOX『オール・ソングス・コレクション』。商品化が決定しても、本当に4月に手元に届くのか、イイカゲンなつくりなんじゃないかとか、疑心暗鬼の俺だったんだけど、予想よりコンパクトなダンボール箱を開けて、高級菓子のようなとても美しい化粧箱を目にしたとたん、そんな不安は吹っ飛んだ。
 『MOMOE PREMIUM』はお堅い図鑑のようだったし、俺は買わなかったけど10万円もする『SEIKO MATSUDA』はまるで安っぽいリカちゃんハウスのようだったというし、ソニーのBOXは仕様がイマイチ、っていう印象があるのだけど、この『オール・ソングス・コレクション』のデザインは俺的には品が良くてなかなか、だと思うのだ。そして、化粧箱を開けると中から現れる、帯も忠実に再現した懐かしいミニサイズのアルバムたち。日本人としてはこういう「箱庭的な」可愛くて精緻なつくりのものを目にすると、本当に嬉しくなっちゃうのよね。それぞれアルバムごとに、LP発売当時の紙質にまでこだわった丁寧なつくりは、お見事としか言いようがない。職人技。賞賛の拍手。これはソニーさん、いい仕事しましたよ。アルバムはCD選書で全部持ってるからと言って見送ったファンの人もいるだろうけど、音質も文句なく良いし、これは購入しなかったことを後悔するかもよ。ってまたもお前はソニーの回し者か、って。(でも商魂逞しいソニーさんのこと、ちゃっかり「アンコール・プレス」なんぞ考えていると思うのだよね。)
 意外な聴きものとして面白かったのは、ボーナストラックとして収録されたシングル曲のオリジナルカラオケ。普段は太田さんの歌を中心に聴いていたつもりの曲たちも、実は緻密なアレンジがあってこそのもので、私たちは間違いなくバックトラックこそを無意識に「曲」の中心として聴いていたのだなあ、ということを実感させられるのだ。初期・中期は萩田光雄氏、後期は大村雅朗氏が中心のアレンジャーなのだけど、彼らのプロの仕事による支えがあってこそ、太田さんの完成度の高い音楽世界があったのよね。ジャズのBGMのような「恋愛遊戯」とか、まるまる美しいピアノ曲として聴ける「青空の翳り」とか、単なる「カラオケ」ではない、立派な音楽作品になっている。これは「売るため」に「気合を入れて作られた」オリジナル・カラオケだからこそ、なのよねきっと。
 それから、ファンから最後まで熱烈な要望があったにもかかわらず、結局収録されなかった映像作品については、やっぱりこうして素晴らしい音質で、素敵なメロディー、味わい深い詞、何より美しい裕美さんの歌声が詰まった完成度の高いスタジオ録音のアルバム群を聴いてしまうと、かつて多くのテレビ番組で半ば強制的にアイドルチックに歌わされていた頃の(ある意味やっつけ仕事的な)裕美さんのパフォーマンスをこのBOXに収録するというのは、やはり裕美さんもイヤだったのだろうな、と想像してしまう。それほど高品質で完結した世界が、これら「太田裕美のレコーディング作品」にはあるように思えるからだ。太田さんのこの「夢の小箱」の世界を壊さないためにも、映像は専門サイトでガマン、がいいかも。
 とりあえず、感激の第一報、ということで(続報はあるのかな?)。