自分の力を信じましょう

hiroc-fontana2008-05-17

 国民にとってはトンデモないものに思えた道路特例法の再可決ですが、政府与党としては提出した20年度予算案を死守する意味で、可決しか選択肢はなかった、ということのようです。再可決してでも成立させなければ、それを前提に提出した元々の予算案に不備があったということになってしまう。つまりは、予算を策定する主体としての政府与党の立場が根幹から崩されてしまうからです。
 後期高齢者医療制度にしても、その内容はもちろん、施行のプロセスがあまりにお粗末だったということは明らかですが、将来的に見れば高齢者医療における財源確保の問題は避けて通れない課題であることは確かであり、その意味ではこの法律が出された背景については理解できなくもない、と私は思います。
 それから。
 コイズミ政権以降、拡大した所得格差。ワーキングプア貧困層が増大しているのは確かですが、ほんの10年前には「一億総中流」を謳歌してきた国民が全て、明日の食事にさえ困るほどのギリギリの生活に押しやられているか、といえば、全くそんなことはありませんよね。今も、夕暮れ時のデパ地下の食品売り場に行けば、美味しそうな惣菜がズラリと並んでいますし、実際にそれらを嬉々として買い求め家路に向かう主婦やらOLやらでごった返している、というのがこの国の現実です。国の財政状況は危機的である、と財務省がPRし、増税社会保障費削減で国民に負担を強いるということは、つまりそれに耐えうる経済的な余力をまだまだ大部分の国民が持ち合わせていることを、おそらく彼ら(政府与党)は見抜いているに違いありません。
 つまり。
 政府与党が昨今繰り返している、まるで国民を無視した行動の数々は、一歩引いてみれば、ある程度その動機がわかってくるように思うのです。だから、マスメディアに煽られて闇雲に与党批判をしているだけではダメだと思うのです。たぶん、彼らのほうが上手(うわて)なのです。
 では、我々は何をすればよいのか。
 当面それは持ち前の旺盛な適応力で、政府が繰り出す負担のなすりつけを何とかかわしつつ、自分達の生活を死守していくしか無いように思います。(フクダ氏が「辞める」「解散総選挙」と言わない以上、政権交代はありませんから。)我々日本人には、この困難な局面を乗り越えられる潜在力がある、と思うのです。(残念ながら「政治」にはその力はありませんが。)ワーキングプアで喘いでいる人々は、援助を受けることを躊躇ってはいけませんし、経済的に余裕のある人々はもっと、回りにいる困っている人々に目を向けなければいけない、と思います。セーフティネットを機能不全に陥っている現政府に頼ることが、おそらく間違いなのです。
 そして、晴れて次の総選挙で是非とも政権交代を実現し、わが国の悪弊たる「官僚政治」を駆逐するのです。順番が逆ですが、その時こそ政府の「無駄遣い」を減らし、国民が富を奪還するチャンスです。
 その機が到来するまで、もうしばらく辛抱するしかない、と思います。原油価格もその頃までにはある程度は落ちつくに違いありません。もうすぐです。
 忘れてならないのは、我々は自分達が政府・与党のために辛抱させられ苦労させられている、その事実です。くれぐれも我々日本人のもう一つの特徴、「忘れっぽさ」を発揮しては、いけないのです。
 メディアによる「忘却操作」には注意しましょうね。