コイズミの罪

hiroc-fontana2008-06-11

 先週末からいろんなことが起こっています。
 秋葉原の通り魔事件の犠牲者の方々には心からご冥福をお祈りします。
 韓国では、米国産牛肉の輸入全面解禁に反対した国民のデモが拡大し続け、内閣総辞職に追い込まれたようです。
 そして、8日に投票が行われた沖縄での県議会選挙では、与野党が逆転しました。与党が総力戦で臨んだにもかかわらず、惨敗しました。
 これらのニュースに触れて感じるのは、いかにコイズミの罪が大きいものであったか、ということです。
 秋葉原の事件では、犯人はあまりに身勝手であり、異常な気質をもっていることはいうまでもありませんが、反面、現代日本の歪んだ社会構造が生んだモンスターである、というような(ある意味ステレオタイプな)分析も、否定できないように思います。アメリカで頻発している銃の乱射による無差別殺人、そして日本でもここのところ急激に増えている通り魔的殺傷事件。この奇妙なシンクロは、先進国のなかで貧困率上位2位に入ると言われる両国に共通する社会的病理がその原因である、と思わざるを得ないのです。そして、アメリカ的弱肉強食の競争社会をこの日本に持ち込んだ最大の功労者(?)がコイズミであり、派遣法を改正して非正規雇用者を爆発的に増やし、格差社会の一因を招いた張本人も、コイズミです。
 韓国では国民性の違いからか国民的規模でのデモに発展していますが、この日本では大甘な規制緩和で早々と米国産牛肉は輸入解禁になっています。その後も幾度となく危険部位混入が続いたり、カレーやシチューのベースとして使われるビーフエキスは完全に規制がないと言われる現状で、我々国民に「危険と思ったら食べなければいい」と言い放ち、ブッシュに言われるがままに輸入を解禁したのも、コイズミです。
 そして、言うまでもありません、後期高齢者医療制度を恐らく内容も詳細を突き詰めぬままに強行採決したのは、コイズミ政権なのです。その怒りが、今回の沖縄県議会選挙での与野党逆転として形に表れたのです。
 しかし、沖縄選挙での与野党逆転についての各テレビ局の扱いは、あまりに軽いものでした。秋葉原の事件がトップであったのは当然とは言え、アメリカ民主党の予備選や、韓国でのデモ、果ては水泳の水着のニュースよりも、軽い扱いになっていました。
 与党に不都合なニュースは流さない。これこそが、コイズミの残した最も大きな罪のひとつ、なのかもしれません。
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 いずれにせよ、メディアがいくらコイズミを持ち上げようとも、私たちはまずコイズミと、コイズミ的なものの否定から始めるべきだ、と思います。アメリカ隷従、財務官僚支配、パフォーマンス政治、自由経済・グローバル経済至上主義・・・これらからの脱却です。
 ただしそれは、単純にかつての日本に戻る、ということではないと思うのです。コイズミによる日本破壊の過程で、戦後日本が成長するなかで積み重ね、敢えて目を逸らして隅に追いやってきた諸問題や数々の欺瞞が明らかになってきているのです。年金問題はその最たるものですし、少子高齢化、環境問題もそうです。それら諸問題をより良い解決に導くにはどうしたら良いのか、劣化著しい政治家たちばかりには頼らず、それを私たち一人ひとりが考えていく、これからはそういう時代なのだと思います。