電車の遅れが気になる

hiroc-fontana2008-10-21


 (ひと足早い紅葉を楽しんできました→)

 最近、首都圏の電車が止まったり、遅れたりすることが多くなったように思う。
 「線路に人が侵入した」とか「車両点検」とか理由はいろいろだけど、やっぱりイチバン多く遭遇するのが「人身事故」だ。ヘタをすると通勤の往きと帰り、1日2回も人身事故が原因で電車が止まったり遅れたりで迷惑を被ることさえある。
 「線路に侵入」というのは数年前まではあまり目にしなかった理由である。それは恐らく、何者かの侵入を感知するセンサーが線路周辺に設置されたか、または運転手が侵入者を目視した場合の通報がシステム化されたか、ここ数年に鉄道会社内でそんな改善が行なわれたのだろう。しかし、そうだとすると、電車が遅れる最大要因たる「人身事故」はもっと減ってもいいはずなのに、一向に減ったように感じられないというのは、それだけ人身事故の発生件数そのものが増加しているということなのだろうか。
 人身事故というと、俺も子供の頃に一度だけ遭遇したことがある「飛び込み自殺」が真っ先に浮かぶ。何たって年間3万人もの人々が自らの命を絶っているのがこの国の現状。深い悩みを抱えた人が、猛スピードで走ってくる電車を前に、発作的に身を投げてしまうその気持ちはわからないでもない。ただ、一説によると人身事故でダイヤに遅れが出た場合、他社への振替輸送賃などで生じる損害は数百万円に及ぶというハナシだし、それを負うべき遺族や鉄道会社はおろか、何ら関係のない他の乗客にも影響が及ぶわけだから、鉄道会社の責任として、もっと人身事故(飛び込み自殺)を減らす努力は必要なんじゃないかな?と思う。新幹線の一部の駅のように、ホームに柵を作ったり、それこそエグイ写真を使ったポスターで啓蒙したりね(これはムリか)。
 大体、コスト削減かもしれないけど、駅に人が少なすぎるのよ。だから非常時に迅速な対応ができなくて電車はなかなか復旧しないし、故障車両の点検にしても、時間がかかる。そもそも、しっかりお金をかけてメンテナンスしていれば車両の故障だって減るかもよ。
 なんだかね。全てを結び付けたくはないけれど、これもコイズミカイカクの悪影響なのかしら、と思わずにはおれないのよね。。。
 この問題について、なかなか鉄道会社側の公式見解はないようなのだけど、とても参考になるサイトがあったので最後にご紹介しておきます。
おもろい会社研究所「鉄道の遅れに見る日本社会の変質」
 以下、少し長いですが、引用です。

遅延を生む3つの原因
 遅延が増えている原因は何か。1つにはJRや私鉄、あるいは私鉄同士の相互乗り入れが増え、鉄道の運行形態が複雑さを増したことだ。
 西武池袋線について言えば、以前は西武線の中だけでダイヤが完結していた。だが今や西武線のダイヤには、メトロ有楽町線副都心線、メトロが乗り入れる東武東上線も関係する。
 冒頭の人身事故の時でも、メトロ有楽町線副都心線西武池袋線との直通運転を中止しなければならなかった。さらに2012年に副都心線東急東横線と乗り入れるようになると、例えば東横線の横浜付近での事故が、東京都西部と埼玉県を走る西武線にも影響を与えるようになるだろう。
 2つめの理由は、鉄道事業者以外による「部外原因」の増加だ。先の国交省による調査では、鉄道事業者の「部内原因」による輸送障害が10年間で19%増にとどまるのに対し、「部外原因」による輸送障害は79%も増え、06年には1477件になった。
 さらに06年度の場合、この部外原因のうち534件(36%)を「自殺」が占めるのだ。この統計からは、自殺による遅延がどれだけ増えているかはわからないが、部外原因の増加率と同程度には、自殺による遅延も増えているとみていいだろう。
 今や鉄道で人身事故が起こり遅れが出ても、事故が朝夕のラッシュ時などに起こり、よほどの数の乗降客に影響が出ない限り、新聞やテレビは報道せず、一般人にはその原因を知る術はない。だが国交省の調査からは、飛び込み自殺の増加によって列車の遅延が増えていることが、透けて見えてくる。
 3つめの理由。それは推測の域を出ないが、107人の死者を出した、2005年4月25日のJR西日本福知山線脱線事故の影響だ。国交省航空・鉄道事故調査委員会は07年6月にまとめた最終報告書で、事故の背景には余裕のない運行ダイヤなどJR西日本の企業体質全般があるとした。
 JRをはじめとした日本の鉄道は、単に遅れないだけでなく、遅れてもすぐに回復できるシステムの柔軟性に特徴があった。ダイヤの工夫や運転士の技能などにより、遅れている電車を元に戻す。だがJR西日本の事故を境に、鉄道事業者側には定時運転に対するこだわりが薄れ、乗客側にも「遅れを取り戻すために無理をされるよりも安全を」という気持ちが生まれたのではないか。

 遅延の理由として「部外要因」が増え、そのうち自殺が36%ですって。やっぱりね。それと、福知山線脱線事故の影響もある、というのはとても興味深い見解だと思う。
 もうひとつ、こちらも。鋭い分析に敬服いたします。興味ある方は読んでみてくださいね。→Kameno's Digital Photo Log「列車の遅延運休から学ぶこと」