Box企画の愉しみ〜大カラオケ大会

hiroc-fontana2008-11-09

 太田裕美さんの紙ジャケ・アルバムBOX『オール・ソングス・コレクション』のアンコール・プレスの募集が始まりましたね。約4万円、ほとんどが既発表曲、映像特典なし、ということで、いくら「最後のチャンスかもしれない」と思っても、いくら大ファンであっても、購入は迷うと思うのよね、やっぱり。
 ちなみに俺は前回のオーダーで購入済みで、内容的に満足しているのだけど、最近はちょっと違った愉しみ方をしているのでそれを今回書こうと思ったのだ。購入を迷っている人の参考には、全然ならないと思うけどね(笑)。
 太田裕美『オール・ソングス・コレクション』の特典の一つとして、全シングル曲のオリジナル・カラオケが収録されているのだけど、これが結構「聴きもの」だってことは前に書いた。で、俺はよく車を運転するのだけど、車の中で大声で歌を歌うのが大好きなのね。最近、このオリ・カラで裕美さんの歌に挑戦したりしているのだ。「聴く」ではなく「歌う」ことで愉しむ太田裕美。するとね、今まで気が付かなかったシングル曲の色々な魅力に気付いちゃった。
 まず、裕美さんの曲は大部分がおっそろしく難しい!これはある程度わかってたんだけどね、実際に歌ってみると本当に難しいの。一応合唱の経験があって音程には厳しいつもりの俺をもってしても(笑)、終始臨時記号がつきまくってる「恋愛遊戯」は当然として、初期の「たんぽぽ」とか、裕美さんが喉を痛めて急遽作り変えられた「恋人たちの100の偽り」とか、予想外のジミな曲に複雑な音程の流れが多用されていて凄く歌いづらいのね。おまけに「振り向けばイエスタディ」はめちゃキイが低いし、「夕焼け」や「最後の一葉」は音域がすごく広い。それをさらりと歌いこなしていた裕美さんの実力に、あらためて脱帽なのだ。
 それと。この大カラオケ大会は誰も同乗者のいないドライブ中に繰り広げられるわけだから、「運転者=歌手」ということで、当然運転しながら歌詞カードなんて読めないわけ。それで当然、歌詞をそらんじて歌うことになるわけだけど、その場合、歌詞を聞き流すのとは違って、歌詞を思い出しながらその意味をかみ締めて歌うことになるのね。するとそこで改めて「木綿のハンカチーフ」とか「しあわせ未満」とか「さらばシベリア鉄道」とか、それこそ4分間のドラマを自ら追体験できちゃうことになって、「あ〜、こんなにいいウタだったのね」と感動することしきり。特に「木綿」なんかは、あれほど繰り返し聴いているのに、4コーラス目で、すっかり都会の絵の具に染まっちゃったカレシが彼女に別れを告げる、その時の気持ちの辛さも、彼女の納得いかないながらもそれを飲み込んで最後のわがまま「ハンカチちょうだい」という複雑な心情も、イザ歌手になって(笑)本気で歌ってみると、手に取るようにわかるような気がして、あらためてこの曲の凄さを知ったような気がするのよね。
 それ以外には、歌ってみると本当にメロディーが気持ちよくて、改めて名曲だなと思えたのが「ドール」。歌詞がすらすらと出てきて本当に歌い易い良質のポップスなんだけど、ブレスに苦労させられるのが「南風」。意外に歌詞が複雑でいつもごっちゃになってしまうのが「九月の雨」だったり。イロイロな発見があって実に面白いのだ。
 ちなみに、『オール・ソングス・コレクション』のカラオケのうち、オリジナルが見つからなくて再録し直したものがある、という噂もある。そうして聴いてみると「最後の一葉」あたりがちょっと怪しいかな?と俺は思うのだけど、もしそれが事実だとしたら、新録音も含まれているということになるわけでそれだけでもこのBOXはコストがかかっているわけよね。ひょっとして39,800円というのは、安いのかしら?