50円の攻防

 先日、とってもムカツクことがあったので、書かせてね。
 とあるドラッグストアで買い物をしたのね。買い物のメインはシェービング・フォームだったのだけど、石鹸3個で98円とか、酒のつまみ用せんべい一袋98円とか、あら安い!みたいな感覚でついつい色々と買って、レジに向かったの。
 代金は783円。
 俺は財布から1,083円を用意してレジの横の受け皿に置こうとした。そのときチャリン!と音がして硬貨が一枚、下に落ちた。お金が落ちたのが床の上だったらすぐに見つかったのだろうけど、どうやらレジが置いてあるカウンターと隣のカウンターの隙間に落ちてしまったらしくて、レジの横やレジの前に陳列してあったガムの棚の中を探したりしてみたのだけど、どこにも硬貨は見つからなかったのね。
 受け皿の上に載せたお金は1,033円。つまり50円玉が行方不明なわけ。
 レジを担当していたのは、レンズの曇ったメガネをかけた、だらしない体型の冴えない中年男。50円玉が隙間に落ちたみいたいなんですけど、とこちらが言うと「本当ですか」だって!チャリン、という音も確かにしたし、俺はてっきり「ではあとで探しておきますから」ということでそのまま精算してくれるものと思ったのに、この発言。さらにヤツの次の行動にビックリしちゃった。
 「この人硬貨を落とした、って言ってるんですけど」と別の店員を呼んだのだ。まるで俺が万引犯みたいな言い方。
 そしてフォローにやってきた若い男の店員もなんだか要領を得なくて、レジをどかしたり床を調べたりしているのだけど、結局カウンターは構造上簡単には動かせないらしくて、いくら言ってもその隙間を調べようとしない。「落としたのはいくらですか?」と訊かれたので、「50円です。」とさすがにムッとして答える。
 俺はここでも「ではあとで探しておきますから」ということでそのまま精算してくれることを期待した(当たり前でしょ?)。でも、またもや店員のびっくり行動が。
 メタボ男と若い男は顔を見合わせて「50円って言ってるけど、落ちて無いし、どうしようかね。」だって!
 すぐに俺はレジの受け皿の1,033円をつかみ取り「もう、いいから。」と言って商品もそのまま、店を出たのは言うまでもない。結局、そのどーしようもない店に、俺は50円を寄付してきた格好だ。
 50円くらい、たしかに目くじら立てる金額ではない。しかし、たかが50円、されど50円なのだ。
 たかが50円をくすねるような男に見られたこと。そこがまず悔しい。
 同時に、50円の攻防となったこの場面で「じゃあ、もう50円出すよ」とこちらから事態の収拾を図ることを、おそらく店員のヤツらが期待していたであろうこと。それもアタマにくる。客商売とは何ぞや、が全くわかっちゃいない。
 ちなみに後日、同じシェービング・フォームが別の店で遥かに安く入手できたし、あの店で買わなくてホント、良かったわ!