いまどきの経営者たち
存続が危ぶまれるほどの危機に陥っている中小企業ならともかく、過去数年来の好景気(これも庶民としては実感がありませんでしたが)で内部留保を存分に貯め込んできた大企業が、率先して非正規労働者を理不尽に「首切り」し続けている現状に怒りがこみ上げます。
財界のトップとしての彼ら、大企業の経営者たちには、ある意味この国を(産業界から)支えているのだ、という自負・責任感が当然あってしかるべき、と私は思っていましたから、こんな時こそ我慢して労働者という貴重な「人財」を守って欲しかった。だから余計に現状に落胆し、怒りを感じるのです。
何故こうも現代の経営者たちは冷酷なのか。その答えが垣間見れるような、こんなブログを見つけましたのでここに紹介させていただきます。
「村野瀬玲奈の秘書課広報室(今の経営者様方のお言葉)」
ちょっと長いですが、以下引用させていただきます。
【昔の経済人の言葉】
「およそ事業をするには、まず人に与えることが必要である。それは、必ず後に大きな利益をもたらすからである」
「社長なんて偉くもなんともない。課長、部長、包丁、盲腸と同じだ」
「社員諸君にはこれから3倍働いてもらう。役員は10倍働け。俺はそれ以上に働く」
「奉仕を主とする事業は栄え、利得を主とする事業は衰える」
「ほかの要因はさておき、我々の売上は、ある程度賃金に依存しているのだ。より高い賃金を出せば、その金はどこかで使われ、ほかの分野の商店主や卸売り業者や製造業者、それに労働者の繁栄につながり、それがまた我々の売上に反映される。全国規模の高賃金は全国規模の繁栄をもたらす」「産業人の使命は、水道の水のごとく物資を無尽蔵たらしめ、無代に等しい価値で提供することにある。それによって人生に幸福をもたらし、この世に楽土を建設する」
- 渋沢栄一 (実業家)
「その事業が個人を利するだけでなく、多数社会を利してゆくのでなければ、決して正しい商売とはいえない」
- 早川徳次 (シャープ創業者)
「一.近所をよくする。近所を儲けさせる。
二.信用、資本、奉仕、人、取引先、この五つの蓄積を行え。
三.よい人をつかんだら、決して放すな。
四.儲けようとする人は、儲けさえあればいいんだ。何事にも真心がこもらない。
五.人によくすることは、自分にもよくするのと同じだ。人を愛することは、自分を愛するのと同じだ。
事業の道も処世の道も、これ以外のものはない。」
【今の経営者様方のお言葉】
「格差があるにしても、差を付けられた方が凍死したり餓死したりはしていない」
「マスコミの厚労省叩きは異常。報復しようかと。スポンサー引くとか」
- 宮内義彦 (オリックス会長 元規制改革・民間開放推進会議議長)
「パートタイマーと無職のどちらがいいか、ということ」
「格差論は甘えです」
「競争はしんどい。だから甘えが出ている。個人の甘えがこのままだと社会の甘えになる」
- 篠原欣子 (人材派遣会社テンプスタッフ社長)
「格差は能力の差」
「フリーターこそ終身雇用」
- 林純一 (人材派遣会社クリスタル社長)
「業界ナンバー1になるには違法行為が許される」
- 渡邉美樹 (ワタミ社長)
「24時間仕事のことだけを考えて生きろ」 「人間はなにも食べなくても[感動]を食べれば生きていけるんです」
「最近は若者があんまりお金を持ってないと、いうのがあって若者が少し車離れしてるんですね、それで(聞き取れない)お金がないって事でそういう 連 中 が少し安い車という流れも少しある」
- 鈴木修 (スズキ会長)
「土曜休んで日曜も休む奴は要らない。8時間働けばそれでいいなど通用しない。成果で報酬がでるんだ」
「業績が悪いのは従業員が働かないからだ。」
「偽装請負は法律が悪い」
「新卒社員は学生時代の成績で初任給に格差をつけろ」
「派遣労働が低賃金なのは当たり前。気ままに生活して賃金も社員並みというのは理解できない」「社員全員が休日返上で働く企業だから成長できるし給料も上がる。たっぷり休んで、結果的に会社が傾いて人員整理するのでは意味がない」
- 猿橋望 (NOVA創業者)
「労働基準法なんておかしい。今は24時間働かないといけない時代なのに」
- 折口雅博 (日雇い派遣グッドウィル・グループ会長)
「日本で払う給料は、間違いなく中国で払うより高い。労働者が、もの凄く安いコストで働いているというようには私は思っていません」
「需要減の影響が一番大きい。これほどとは思わなかった」
「雇用を優先して損失を出すことが、私に期待されていることではない」
- 杉原洸 (黛(まゆずみ)グループ代表取締役)
「親が死んだぐらいで休むなんて、しょうもない」「親が死んでも働くのが社会人」
......。(絶句)
えーと、クリスタル社長だった林純一とか、グッドウィル会長だった折口雅博とか、NOVA創業者だった猿橋望とか、立派な企業でも立派な人でもなかったですよね。そのほかの人材派遣会社のあこぎさも言うまでもなく。
そして、最後の杉原洸さん。この人のお葬式には誰も来ないでしょうね。というか、お葬式そのものがないでしょうね。だって、親が死んでもそんなの無視して働けって言っているんじゃない。杉原洸さんのお子さんは親の言いつけを守って葬式は出さないはずです。それが杉原さんの望みなら杉原家はそれでいいと思いますが、それを他人に強要しないでほしい。
もちろん、現代の経営者が全て悪で昔の経済人がすべて素晴らしかった、という単純なことではないと思いますし、現代人はマスコミに追われて言葉尻ばかりを取られてしまっている場合もたしかにあるでのしょうが。
それを差し引いても、やはりちょっとがっかり、させられますよね。
「はたらく」という言葉には「「はた(傍)」を「らく(楽)にさせる」」という意味もある、ということを聞いたことがあります。仕事を持つことを「社会人になる」と言うのも、「仕事によって社会に貢献する」という意味があるのだと思います。
そこからすると、現代の経営者たちの言葉からは、そうした「他者への思いやり」だとか「社会への責任感」といったものが圧倒的に欠けているようにしか思えませんよね。