真意を感じ取ること

 コイズミが出てきて、マスコミが大騒ぎですね。評判の悪い定額給付金を「2/3を使って再可決する法案と思っていない」なんて(国民ウケのために心にもない)ことを言って、アソー降ろしのノロシを上げたの、なんだの。
 いいえ、コイズミは国民のヒーローとして出てきたわけではありませんよ。この期に及んで彼が登場してきたのは「郵政民営化見直し路線」が許せなかったのと、「かんぽの宿」疑獄に対する人々の目を誤魔化すため、の単純な動機に違いありません。そのために、御用マスコミが一肌脱いだわけですね。
 郵政民営化とそれを通すための2005年の衆院選のインチキが、もう一息で暴かれかねない事態ですから、コイズミも相当に焦っているのだと思います。コイズミ自らが一度は衆院で賛成した自民党議員でありながら、今頃になって定額給付金を批判しているという彼の矛盾こそ、大いに批判されるべきで、そんな不利な状況で出て来ざるを得なかったことも、コイズミが窮地に立っていることの表れかもしれません。
 郵政民営化は、公務員人件費削減や国民へのサービス向上に寄与するものではなく、アメリカからの「年次改革要望書」に基づいて、簡保を弱体化してアメリカの生保会社の国内参入に寄与するためのものだったわけですし、そして郵政のもつ莫大な国民資産をアメリカの使い易いように差し出す手段が「民営化」であり「郵政株売却」であったことは、我々国民は薄々気付き始めているわけです。特に、郵便局が閉鎖に追い込まれているような過疎地の住民ほど、少ない情報の中にあって、それこそ「郵政民営化の欺瞞」を肌で感じているのではないかと思うのです。
 「かんぽの宿」については、民間に売却することで表向きは赤字垂れ流し状態から効率運営に切り替わるような印象を受けますが、少し考えれば、「かんぽ」とつく位ですから、その施設・土地をはじめとする資産は国民が納めた簡易保険料そのものであることに気付くはずです。それをオリックスという外資企業に破格の安値で叩き売る行為を、許して良いはずもないわけです。そしてそれも「郵政民営化」という一連の欺瞞の中で行われていた行為なのですから、それを推し進めた張本人としてのコイズミは、糾弾されてしかるべきなのです。
 そして、そのコイズミの欺瞞から目を逸らす行為に一役買っているメディア(特にテレビ番組)は、アフ●ックだのアリ●ジャパンといった強力な外資生保会社がスポンサーとなって作られているわけですから、都合の良い情報しか流せないのです。
 そういえば、コイズミ同様新自由主義の旗振り役であって、派遣切り問題でも最近評判のすこぶる悪い経団連会長“お手洗い”さんも巨額脱税事件への関与が取り沙汰されていて、マスコミの追求をかわすために躍起になっているに違いなく、こちらはメディアでどんな情報操作が行われていくのか、注目していく必要があると思います。
 右往左往しているトッチャン坊や・アソータローを総理に持つ我々・日本国民はたしかに不幸です。しかし我々は、一躍メディアに祭り上げられたコイズミと一緒になってアソーを苛めているだけでは、真実から目を逸らされてしまうだけなのです。彼らの思うツボですよね。(むしろここでは、「郵政民営化見直し」に言及したタロー首相を応援すべき局面であるかもしれません。)
 御用メディアに決して踊らされることなく、私たちは、垂れ流される情報の中から有用なものを心の目や肌感覚を駆使してしっかりと取捨選択して、いま起こっている出来事の真意を感じ取っていかねばならない、と強く思っている今日このごろです。
参考サイト→保坂展人のどこどこ日記
       植草一秀の『知られざる真実』