コンピレーションCDに思うあれこれ〜『こころのしずく』

 コンピレーション・アルバム花盛りですね。
 一昔前は、レーベルやレコード会社の垣根がとても高かったから、たくさんのヒット曲や歌手がレコード1枚で聴けるなんて夢のような話だったのにね。
 たとえば俺が子供の頃のアニメやヒーロー物の主題歌集にしても、人気番組の主題歌がたくさん集められたレコードを「わあーすごい」と期待して買ったとしても、いざレコードに針を落としてみると、著作権の関係からかオリジナル歌手と声は似ているけれどホンモノとは全然違う「誰か(ゴーストライターならぬゴースト・シンガー)」が歌っていたりして。いくら子供でもテレビで見ているあの声・あのアレンジとは違う!というのはすぐわかったし、期待して買ったレコードがそんなだったりするとすごくがっかりしたのよね。たかが子供向けでもそうだったわけで、80年代までは、オムニバスアルバムと言ってもせいぜい同じレコード会社所属の歌手の曲を集めるだけで精一杯、という感じだったのよね。
 そこからすると、本当に時代は進んだよな〜と思う。思えば80年代終盤の『スーパーユーロビートスーパー・ユーロビート VOL.120とか、『グラミーノミネート集』とか、あのあたりから一気にコンピレーションのリリースは増えてきたような気がするのだけど。それでふと思い立ってウィキで調べてみたら80年代の『NOW』シリーズが最初だったみたいね。そういえば、あったあった(笑)。Now 30確かに、次から次へと出てくる新しいアーティストの新しいヒット曲たちを追っていこうとしても、アルバムなんて手が伸びないし、シングル買っても追いつかないし、というわけで、ヒット曲がお手軽に1枚で聴ける、ということで『NOW』シリーズはヒットしたよね。
 でも今はダウンロードの時代に入って、ヒット曲は単体で手軽に買えるようになってきたから、コンピCD(オムニバス)は『イマージュ(癒し物)』とか『アラフォー(ナツメロ物)』エンカのチカラ-SONG IS LOVE 80’S&90’Sとか、果ては演歌歌手が歌うポップス集の『エンカのチカラ』とか、そのまんま「LIFE」というタイトルの曲を集めた『タイトルはLIFEです。』タイトルはLIFEです。まで、変わった視点や企画で勝負するものが増えてきて、ますます面白くなってきた気がする。
 ただね、例えばエルトン・ジョンの「ユア・ソング」とかナナ・ムスクーリの「オンリー・ラブ」とかジャーニーの「オープン・アームス」とか、国内モノで言えば「壊れかけのRadio」や「雪の華」や「LOVE LOVE LOVE」あたり、結構色んなコンピCDで安易に使いまわされている素材も少なくなくて、イイ歌を集めたいのはわかるけれど、選曲が似たり寄ったりでちょっとウンザリな企画も増えてきているのも確かだと思う。
 さて、『こころのしずく』は「生きる」ということをテーマにしたコンピレーションCDで、収録曲はマッキーの「光〜あなたを忘れない」に始まって「千の風になって」「涙そうそう」「ハナミズキ」・・・と続く。これね、恥ずかしながら実は俺のカラオケの十八番ばっかりで(笑)ドライブ中のCDにいいかな、なんて思ってつい、つられて買っちゃったのだけど、何だかね。。。中村中「友達の詩」、杉本まさと「吾亦紅」ときて、気がついたのだ。。まるで「紅白歌合戦ソング集」じゃない、これ。おまけに去年復活した徳永ヒデアキの「壊れかけのRadio」まで入ってるし。
 まあ、そんな苦言を呈しながらも、やっぱり中年男のドライブのお供としてはヒジョーに役立っている(?)CDとして、紹介しておきます。