バラマキの余波

hiroc-fontana2009-08-06

 ブログほったらかしで、かなりの日数が経ってしまいました。仕事とか夏休みとか公私とも多忙で。
 こうして振り返るとホント、自分の思うことを思いのままに書く、というのは時間的にもココロにも余裕がないと出来ないことだったのですね。この10日ほど、スケジュールがきつかったのも確かですが、何より、書こう!という意欲が全く湧き上がらなかった、というのが真実です。つまりここ10日ほど、私の脳内には、おそらくそういったことを処理する“アソビ”のスペースがほとんど残っていなかったのですね。
 その原因のひとつが、なんともやりきれないことに自民党のバラマキ政策だったのですから、目もあてられません。いま土俵際に追いやられた自民党のお陰で、現場がどれほど混乱しているのか、今日はそれについて愚痴を書き連ねますが、興味の無い方はどうぞ読み飛ばしてくださいね。
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 私はこれまでも何度か書いたとおり、重度の知的障害がある方々と近い場所で働いています。いわゆる介護系とか福祉系職場とか言われる場所ですね。仕事がハードで社会的貢献度も大きいわりに賃金が安い職場、その代表格です。
 一方、自民党が今回のマニフェストで介護職員の待遇改善について、
改善に努める事業主に対し、職員の給料1人当たり月平均1・5万円の引き上げに相当する金額を助成
としているのをご存知ですか?
 これが、現場を混乱させているのです。それは、衆院選を目の前にして、その公約が拙速に強行されようとしているからなのです。
 月額1万5千円アップとなれば、もちろん、介護・福祉の現場にいる職員にとっては歓迎すべきハナシには違いないのですが、そのあまりにムリやりな突貫工事っぷりに、hiroc-fontanaはムカついているのです。
 行政からの、福祉事業者向けの説明会が8月3日。そして、待遇改善のための助成金を受けるために、もろもろの書類を揃えて申請する、その締め切りがなんと9月4日!たった1ヶ月しかありません。その間に、事業所の給与規程を変更したり、理事会の承認を得たり、それら証拠書類を10数種、揃えなければなりません。まあ、思いっきり妥協して、ここは若い職場仲間のために一肌脱ぎましょう、というだけなら私も頑張るんですが・・・。
 この助成制度、突貫工事ゆえのボロボロな内容なんです。
 たとえば、「職員1人当たり月平均1・5万円」というのは実は大ウソで、これは国の基準ギリギリのラインで思いっきり職員を減らして運営している事業所の話。助成金は事業所単位で「総額○○万円」という支払われ方をされるので、人件費の膨張をにらみつつも職員を多く配置して少しでも手厚い介護をしようと頑張っている事業所の場合、助成金総額を職員の頭数で割ることになるから、職員が多いほど一人当たりの引き上げ額が少なくなってしまうのです。事実上、スズメの涙ということ。
 つまり、例えば同じ法人が運営する介護現場であったとしても、どの事業所で働いているかによって、助成される一人あたりの額が変わってしまう、というおかしな仕組みです。そのうえ、同じ職場で働いている看護師や栄養士や事務員などは助成金の対象にはなっていなかったりします。事業所の中でも外でも、職員の間でこれだけ条件が違ってしまっては、まともな給与規程なんて、作れませんよね。
 なのに行政の説明では、そのあたりは「自助努力で解決せよ」ということのようです。ったくもう!
 そして、私が何よりも怒っていること、それはこんなヘンテコな助成金さえ「向う3年間の時限措置」だということです。これぞ自公政権の得意技。3年で終わってしまう報酬アップのために給与規程をヘタに変えたら、期限が来たらその後は全部事業所の持ち出しになるだけです。
 そしてもうひとつ、本当にミエミエの仕掛けがあるのです。助成を受けるに当たって、事業所は対象職員全員に助成により引き上げとなる内容を説明しなければならないのです。言い換えるとこういうことです。
「政府がこんなにイイことしてくれたよ!」ということを(選挙前に)しっかり回りにアピールせい!と言っているのです。
 アホか!て。(あ、つい言葉に出してしまいました。すみません・・・。)
 そんなわけで、アホー自民党が土俵際でヒリ出したバラマキ政策のお陰で、現場はいかに混乱し、迷惑しているか、それをわかっていただきたくて書きなぐってしまいました。特にここ数日はバタバタです。
 最後に、福祉・介護の世界というものは、サービスを受ける側が弱者である限り、そこに金儲けや競争の原理を持ち込もうとしてもムリが生じるばかりだと私は思います。(だって、もともとつつましく生活している人たちばかりなんですから。。。)まずは隣人愛と相互扶助の考え方が無ければ、成り立たない分野でもあります。
 それを捨て、自己責任と競争原理を持ち込もうとしたコイズミ・タケナカ路線は、間違っていたということに国民は薄々気付いているのですから、それを引きずったままの今の福祉政策は180度転換させないと問題は解決しません。そのためにも、まずは自公政権否定、政権交代、それしかないと思うのです。