「反体制」を貫く森田さん

 森田実さん。
 コイズミ改革に真っ向から反論して、一時期マスメディアから姿を消した(抹殺されかけた)この政治評論家をいままでずっと応援してきました。もちろんこのブログの「アンテナ」にも登録させてもらっています。
 でもそんな森田さんの論調が最近、私の思っていることとは正反対の方向に行っていることが多くて、私としてはなんとも居心地が悪かったのです。
 たとえば、森田さんは八ツ場ダムの工事中止を批判しています。これについては、もともと森田さんは公共工事必要論者なので仕方のないことだと思うのですが、「地元住民の生活重視のため」とか「中止すると余計にムダな支出が増える」とかいう、官僚と大マスコミによるネガティブ報道をそのまま鵜呑みにした情報をその根拠にもってきていまして、少し情緒的に過ぎていてバランスを欠いている感が否めません。
 また、鳩山首相の政治資金問題でいまだ明確な説明のないこと、子ども手当や高速道路無料化の財源問題など、選挙前に自民党ネガキャンに使った問題点の数々についても、いまだに「民主党は早急にこれらを明らかにせよ」と主張し続けていたりします。そのうえ最近では、「谷垣新総裁に期待する」といった野党に転落した自民党を応援する記事まで書かれていました。
 私は、最近の森田さんの「路線変更」に戸惑い、もしかすると森田さんはコイズミ時代にリンチにも似た仕打ちを受けた挙句、生き残りをかけてマスコミと勝負を続ける中でいつの間にか自民党の「御用マスコミ」として取り込まれてしまったのかもしれない、などと邪推するようになってきました。
 しかし、気付いたのです。森田さんは、根っからの「反体制」なのですね。権力に対しては常に厳しい目で監視する姿勢を貫く人なのだ、ということです。だからこそ、今の「民主マンセー」の風潮とは敢えて反対の方向で論を張っていらっしゃるのではないか、と。
 ですから私は、八ツ場ダムについて、民主の財源論について、温暖化ガス25%削減目標の意義についてなど、いまの森田さんの考え方には同意できないことばかりなのですが、その、政府与党を厳しく糾していくというジャーナリストとして一貫した姿勢に、今後も敬意を示していきたいと思っています。
 ・・・なんて、さすがにちょっとムリがありますかね。。。
 そういえば、最近のテレビのニュース・ショーも相変わらず民主党に厳しいようです。ただ、視点をずらしてみるとそれは、自公政権時代のように「政策への不満・反対」による批判ばかりではなく、どちらかというと民主党の政策に対する「改善要求」を込めた批判に近いものであることがわかります。つまり、国民と反対方向に向いていた自民党公明党とは違い、民主党にはもしかしたらワタシ達の声が届くかもしれない、という小さな期待があるがゆえの、ある意味建設的な批判です。ホソダをはじめ、森やマチムラや大村や世耕やコイケ(女)といった、高圧的で口先だけのジミン議員と違い、民主党議員は全体的に相手の話をしっかり聞いて自分の言葉で話をしている印象があって、そこも良い点ではないかと思います。とにかく与党連立政権は、きめ細かくしっかりと政策を国民に説明しながら、国民の声をよく聴き、まずいところは修正しながら、政権運営をしていってほしい、と思っています。