地デジに弄ばれて〜&「雨月物語」

 年末からテレビの映りが悪くなって、しまいには画面のピントも合わなくなってきたから、このあいだ仕方なくテレビを買い替えたのね。
 地デジなんて、自民党の政治家が一握りの企業や団体と利権を分け合うために国民に強制しようとしていただけだから、いっそアナログ放送が終わったらテレビとはおさらばしよう、なんて思っていたのだけどね。我ながら情けないかぎりで。。。
 ニュースやワイドショーで無責任な誤情報を垂れ流すマスコミにはウンザリしているのだけども、ドキュメンタリーや音楽番組の中には、わずかだけれど良質な番組もあって。それを考えると、今ならエコポイントや何やらで安く買えるらしいし、やっぱり買っておいても良いかな?と。
 で、結局は光回線ならアンテナ工事もなく4万円近く割引になるとかいうハナシがあったから、テレビ購入と同時に、パソコン・電話とひっくるめて光回線で契約することに。
 それで地デジ放送だけでなくBS視聴も可ということになったのだけど、光テレビだとこれからは視聴におカネがかかることになるのね。おまけにNHK-BSの料金が上乗せ。これは想定外だった。そうして考えてみると、光回線工事の初期費用と月額のテレビ視聴料金の負担で、おそらく2年もすれば、結局はテレビの値引きとアンテナ工事分はチャラになってしまうわけで。
 おまけに、プロバイダも強制的に変更させられちゃうし。元に戻すには違約金がかかっちゃったり。プロバイダ解約にしても、電話したらあちこち部署を回されて引き止め説得されたあげく、モデムを自費で送り返さなけりゃなんないし。
 何だかこれって結局は、きつく締まった我々国民のサイフの紐を、カギ師ならぬ“地デジ師”たちが寄ってたかってこじ開けようとしているようにしか思えない。その総元締めが「自民党」だったというわけね。
 とは言っても、買ったからには活用しましょ、と。ポジティブシンキングへの切り替えの早さが俺の強み。早速、BSを中心にテレビ番組をチェックしまくってます。2画面表示にしたりフルスクリーン表示にしたりの小技も使いながら、結局は変わり映えしない番組を見つつも、買い替え前からすればテレビ視聴時間は格段に増えたかも。
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 そして昨日25日は、夜10時からBSフジで放映されていた映画「雨月物語」を堪能。
 ここからはちょっとだけ映画『雨月物語』のハナシ。
 1953年製作とは思えない斬新なストーリーと、モノクロならではの映像美。江戸時代の古典作品を、昭和20年代のあの頃はまだこんなに自然に映像化できていたのだなあ、などと改めて感心しながら観た。たしか水木しげるの言葉だったと思うけど、昔の日本では(というか、つい20年ほど前の昭和の時代までは)まだ、この世とあの世の境目は自然に繋がっていて、街の片隅の暗闇にはこの世のものならぬ妖怪たちが棲みつく場所がたくさんあったのだとか。今は夜になってもどこも明るくて、痴漢は潜んでいても、妖怪が棲みつけそうな場所なんてないものね。だから今の若い映画監督が『雨月物語』のような作品を撮ろうと思っても、CGを駆使したマンガチックなSF映画にしかならないと思うのよね。
 あの世とこの世が溶け合う場所があることを肌で感じるような感覚が、現代人はどんどん薄くなっているのよね。そういう体験がないから、ベネチア映画祭で銀獅子賞を受賞した、あの神秘的な映像世界は、現代の監督には絶対に再現できない。そう思う。それに京マチ子のような、本当に平安時代から蘇ったような、幽玄かつ品格のある姫君を演じられる女性(女優)も、今はまず居ないだろう。ホント、世の中は変わったし、何だか寂しい時代よね。

雨月物語 [DVD]

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 ちなみにBSフジのその映画番組では、本編を挟む形で女性アナウンサー2人(N野美奈子ともう1名、誰だか忘れた)が映画についてのトークを繰り広げる形だったのだけど、そのトークの酷いことときたら。。。「古い!」とか「姫様が怖い!」とかいう子供のような(感性は子供以下かも)感想を並べるばかりで、およそ映画解説とはほど遠い内容だったのね。せっかくのイイ映画があのおかげで台無し、て感じ。そんなアナウンサーが業界を闊歩しているというのも、時代の変化、街に妖怪が棲めなくなった時代のせいなのかもね。心が貧しくなったのかしらね、日本人全体が。ガッカリ。
 BSって、スポーツや映画のノーカット放送とか、昔のドラマの再放送とか、マニアック心をくすぐるラインナップが多い分、本編以外の部分ではお金(出演料とか)をかけないみたいだから、気をつけないとこんな“トンデモ解説者”みたいなのに当っちゃうのかもね。勉強になったわ。