オールクリア

 ひさびさの3連休だったのに、前半は風邪でダウンしてました。金曜の朝から熱が出始めて、午後は仕事を早退して家にたどり着いたとたん、意識不明なカンジで。翌日の土曜は結局、食事や生理現象のほかはほとんど一日ベッドの中で過ごした。良く寝たわ。連休中日の昨日の午後あたりからようやくフツーに起き上がって生活できるようになったのだけど、もともと頭痛持ちなものだから、風邪のあとはいつも酷い頭痛に悩まされて、結局昨日の日曜日も一日ほとんど何もできなかった。
 そんな感じで結局、連休はおじゃんに。
 実はね、先週はじめに俺、仕事で異動を言い渡されたの。まあ、転勤ではないからまだ良いのだけど、それでも、引継ぎやら後始末やらで急に忙しくなって、てんてこ舞いの日々が始まっていたのね。これからしばらくはホントに忙しくなりそうなので、だからこの3連休はしっかりエンジョイしとかなきゃ、てことで、目一杯スケジュールを埋めていたんだけど、そんな矢先にダウンしちゃったわけ。
 約束していた友達には金曜のうちにあわてて何本もキャンセルとお詫びのメールを入れておいたのだけど、夜中に目が覚めたら、“大丈夫?”“お大事ね”とかいう返信メールが何本か入っていて、嬉しかったのと同時に、何だかとても淋しい気分になってしまってね。
 ああ、俺が居なくても、この世の中はいつもどおり回っていくのよね。
 なんて思ってしまって(笑)バカみたいよね。でも独り者が病気になると、いつも多かれ少なかれ、そんな気分になるのよね。自分ひとりがベッドの中でウンウン唸って苦しんでることを、誰も知らない。たとえ連絡した友達はそれを知っていても、それは単なる“情報”でしかなくて。そして、約束の場所に俺が居なくても、彼らは俺がいない前提でいつものように楽しんで過ごしていくわけで。
 それは職場でもそうで、今回のように異動があれば自分のあとに誰かが来て、自分が今まで負っていた役目を果たしていく。俺は俺で誰かの後釜に収まって、その役割を果たしていく。普段は、自分が居ればこそこの職場は回ってる、なんて思っていても、イザ交代してしまえば、あっさりと他の人が自分の代わりを平然とこなしていている、そんなものだ。
 そんなことをひとり、ベッドの中で考えていたら頭痛が酷くなって、眠れなくなっちゃって。
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 そんな感じで三連休の最終日を迎えた。風邪も回復して今日は気分一新。天気もイイし、まるで生まれ変わったみたいに爽やかな目覚めだ。風邪を引いたあとって、この生まれ変わったようなカンジがいいのよね。思いっきり熱を出してカラダの中の悪いモノも一緒に燃やしてしまったみたいになる。
 実は昨晩、旧友から2年ぶりくらいに連絡があって、今日、会うことになったのだ。“俺が居なくても、この世の中はいつもどおり回っていくのよね”なんて弱音を吐いた矢先に、俺のことをふと思い出して連絡をくれる人がいるということは、偶然にしては出来すぎている。
 だからいま、異動で新しい環境に向かおうとしている自分は、やっぱり自分でしか果たせない何かをそこで表現していかなくちゃいけないな、なんてことを思わされてしまう。
 病気が去って、そんな前向きな気分に満たされたフシギな朝。