夢の人

 夏の暑さにめげず、昼は目が回るほどの仕事を毎日バリバリこなして、夜は夜でアチコチのお誘いに顔を出して夏の夜を満喫・・・。そんな充実した日々を送る俺だけど(ウソよ!)、とにかくこの夏の忙しさはハンパじゃなくって、マトモな休みがここ10日以上とれなかったの。
 10日で音を上げるなんてアマちゃんよ!というお叱りは甘んじて受けますけどね(笑)、「仕事は所定時間内に済ますのよ!」がモットーの俺にとっては、連日残業・休みなし10日勤務ってのは、かなりのストレスだったわけ。
 で、先日カレシに久しぶりに会ったのはいいけど、何故かわからないけど会った当初から、自分でもイライラモードが抑えられなくて。(多分、忙しさで軽い“ウツモード”に入っていたのだと思う・・・。)
 そのとき俺が考えていたこと。前回のエントリー「インセプション」じゃないんだけど、こんなことを考えちゃっていたのだ。
 俺のカレシは妻子もち。なかなか会う時間がとれないこともあって、我々の場合は倦怠期なんのその、いまだ二人で過ごす時間は恋人同士のような感覚になれるのよね。それはつまり彼にとっては、俺と一緒に居る時間は、家族という現実を忘れられる貴重な時間でもあるわけね。そう、夢のひととき。。。(「お互い、もうオヤジなのに」という避けられない現実もあるのだけど、それは初めから忘れ去ってる・・・都合のいい脳ミソなのだけどね。笑)
 でもね。
 デートして別れたあと、彼は、「家族」という現実が待つ自宅に戻っていく。家に帰れば自動的に現実に引き戻されて、夢から覚めるようになっているわけだ。そして、すぐに俺のことは記憶の片隅に追いやって、明日からはまた彼のいつもの日常が始まる。そう、俺はそのとき既に彼の中では「夢の住人」でしかなくなっているわけね。
 その一方で、この俺はといえば、たとえさよならしても夢の中に半分足を突っ込んだまま、それを抱えて家に帰らなければならないのだ。つまり、自ら目を覚まして現実に戻ることをしないかぎり、明日の見えない恋愛の余韻に溺れながら、いつまでも現実味のない中途半端な日常を泳いでいくことになるのだ。

 こんなの不公平だよ!

 みたいなね。。。それをぶつけちゃったわけよ、カレに。。。
 勝手な妄想だよね、今思えば。。。案の定、彼もポカンとしてた。ちょっとしたウツモードが招いた、ナイトメアに惑わされた俺。
 そう、すべて自分が蒔いた種。夢も現実も無い、この状態こそが自分の人生。それに向き合っていかなければいけないのだよね、多分。