「自由」の代償(BGMはみゆき)

ひとりって気楽でいいよね。
皆はそんな風に言う。
自分も言う。
うん、ひとりって、気楽だよ。

でも、本当はこう思っている。

「ひとりって大変なんだよ・・。」
何でも自分でして、自分で始末しないといけないしさ。

でも、何より大変なことは、何でも自分で決めないといけないことなんだ。

え?
と皆は疑うだろう。
自分で何でも決められるなんて、自由でありがたいことじゃないの?

いやいや。。。。



ひとりで暮らして25年近く。
夕食の献立に始まって、ネクタイの色や柄を決めることとか、次の休日のスケジュールだとか。今度出るわずかなボーナスの使い道とか。週末に飲みに行く店はどこにしようかだとか。そもそも飲みに行くのか行かないのかとか、行くなら誰かを誘おうかとか。貯金して海外に行こうかとか。行くならどこに行こうかとか、いつ行くのかとか。
今日はまっすぐ帰って寝ようかとか、いや週末だから寄り道したいけどどこに行こうかとか。いやいや明日は朝早いからやめた方がいいだとか。だったら帰ってブログ書こうかとか、書くなら何を書こうかとか。最近目の調子が悪いから病院に行こうかとか、いつ行くのかとか。
あれだとかこれだとか、なんだかんだ。。。。

些細なことも重大なことも、全部自分で決めなければいけない。
ひとりで暮らして25年近く、そのことが、段々しんどくなってきて。

Singles Bar の寂しさは
帰り時を自分で決めること

もう帰ろうか、と言われて席をたつ
残念さも くすぐったさもないこと パラダイス・カフェ(紙ジャケット仕様)


 「SINGLES BAR」 詞:中島みゆき

例えばね。奥さんから「あなた、もうお風呂入って。」「あなた、それはこうしたらどう?」「あなた、来週はあそこへ連れて行ってね。」なんて指示ばかりされたら、確かに鬱陶しいだろうけど、今の俺は、そんなことも何だか、羨ましいような気がして。

自分で決めて全て自分で後始末するよりも、結果はどうあれ誰かに決めてもらったほうが、どれだけ気楽だろうか。
最近つくづく、そう思う。

「自由」の代償は、大きいのかもしれない。
そんなことを感じ始めている俺、アラフィフ、独身ゲイ。

走ることも 停まることも 寒いことも 暑いことも
飾ることも 脱ぐことも 憧れも 共感も
あたしたちは あたしたちは あたしたちは あたしたちは
自由っていう名前の中 何か影を嗅ぎ取ってる 真夜中の動物園


 「まるで高速電車のようにあたしたちは擦れ違う」 詞:中島みゆき