ブランド力〜『Checkmate!』安室奈美恵

 アムロさんの新作に、脱帽です。

 決して期待を裏切ることのないその安定したクオリティはもう、“ブランド品”と言ってもいいんじゃないかしら?特に、新旧のコラボを集めた今作、安室奈美恵という“ブランド”が加わることでどんなアーティストの作品もある一定のレベルに引き上げられてしまうという、その“ブランド力”をまざまざと見せ付けられたような気がする。
 特に、新作コラボ相手の○ャニーズの山○○久くんや、ケミストリーの黒い方(笑)との共演では完全に彼らの“冒険”に彼女の方が胸を貸しているような「姐御」状態で。彼らもアムロ姐さんの胸を借りて予想を遥かに超えた素晴らしいパフォーマンスで新境地を開拓している感じ。
 この『Checkmate!』というコラボを集めた作品集全体を通じて感じたことは、共演アーティストの個性に寄り添って相手を立て、それでいてきっちり期待された“アムロ・ブランド”としての仕事もこなす彼女の、相手との絶妙な距離感(勘)、その巧さ(クレバーさ)に今さらながら「すげーな!」と(笑)。
 もちろんコラボのベスト盤という性質上、作品の3分の2は相手方のアルバムに呼ばれた形での共演(クレジットがfeat.安室〜となっている)の再録であって、共演相手の音楽にお付き合い、という印象があるのは当然とは言え、それでもどんな曲においても決して手抜き感がなく、むしろ彼女独特の艶やかで心地よいテンションのボーカルが加わると、曲に何とも言えないグルーブと安定感が加わるのは、やっぱりブランド力、ね。だからみんな、彼女と共演したがるのかも。
 タイトルの「Checkmate」はもちろんチェスの王手、の意味だけど、Checkには「符合する」というような意味もあるらしくて、それにクラス・メイトと同様の「mate」の意味が加わることで「(意外に)息ぴったりなトモダチ」みたいな感じを伝えようとしたのかも?なんて思ったのね。あと、このアルバムは震災の影響で発売延期になっていたのだけど、「Checkmate」には詰め(行き詰まる)の意味もあるらしくて、人知れず震災義捐金を何千万も寄付していたというアムロさんのこと、きっとそれもあって「今はリリースするときじゃない」と思ったのかな?なんて想像するのだけど。
 それともうひとつ。経済はおろか、スポーツやアートの世界でも、中国・韓国などアジア諸国の後塵を排す分野が多くなり、そこに大震災があって、この先どうなるのかしら・・・という感じの日本。こと音楽界ではK-popの隆盛によって、その徹底したプロフェッショナル性との比較の中で、相対的に日本の音楽産業の劣化がクローズアップされるばかりの印象を受ける昨今。そんな折、韓国のガールズグループ・AFTERSCHOOLを文字通り“従えて”ク〜〜ルに決める安室奈美恵のパフォーマンスを見る限り、ああ、彼女がいればこの国もまだまだ大丈夫!そう思わせてもくれる。付け足しっぽいけど、いつもながらPVの出来もとにかく素晴らしい、の一言。この人の作品の場合はぜひDVD付きがオススメ。
 ルックス的にもますます可愛くカッコよくなってもはや“サイボーグ”な彼女。今後が楽しみ、と思わせてくれる数少ないアーティストのひとり。
 
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