NHK「SONGS」200回記念

 12月7日放送。もはや数少ない良質な音楽番組のひとつであるNHK「SONGS」の200回記念に呼ばれた聖子さん。今回の記念出演を含め、年末には久々の紅白、来年は大河ドラマ出演も控えていて、かの国営放送局との蜜月関係の真っ最中であることを「そうよ、何が悪いの?」(笑)的に億面もなく事実として提示してしまうあたり、何とも聖子さんらしいというか・・。おまけに紅白には一人娘・サヤカをねじ込んでしまうという強権ぶり。ファンとしては冷や汗もの(苦笑)。
 一方、竹内まりやさんとのコラボによる新曲「特別な恋人」の評判は上々で、仕事面はもちろん、今回の「SONGS」は何より聖子さんの内面的な充実ぶりが伝わってくるような内容で、30分の放送時間に披露した曲は4曲と少ないながらも、内容的には大満足の番組だった。
 ここからは番組の感想などを“つぶやき”風で。

  • 「Cherish」コンサートで震災への思いを語る聖子さん(DVDからの抜粋)。そこから1曲目「瑠璃色の地球」へ、という流れはGOOD。そこに86年当時の同曲のPVがカットイン。20代の頃の、清楚な聖子さんはまるでミューズのよう。そして49才の聖子さんが登場。
  • シックなダークトーンのワンピースにストレートヘアの聖子さんは大人の魅力たっぷり。最近のトレードマークでもあるアンパンマンのようなホッペがちょっと気になるけど、まあいいか(笑)。キイは当時のままで、声の調子は上々の様子。でも、もったりと引きずる歌い方はどうにかならないかしら。
  • 続いては今年、クインシー・ジョーンズのコンサートに招かれたエピソードについて語る聖子さん。そこで「上を向いて歩こうSukiyaki)」を歌いたい、と自らクインシーにお願いしたという。コンサートでの反応は予想以上で、良いメロディーの良い曲は世界に通じるということを再認識した、と聖子さん。聖子さん、今回はインタビューで語る内容もいつになく(笑)充実してる。
  • 2曲目、ジャジーにアレンジした「上を向いて歩こう」披露。髪を巻き上げてタイトなドレスに身を包んだ聖子さん、今回の番組では歳相応の大人を演出ね。素晴らしい。歌の方は世界的名曲をカバーする聖子さんがとても新鮮で(途中、流暢な英語もからめて)、こちらも聴きごたえ十分。これは、今回の番組の目玉だったかも。ああ、やっぱり聖子さんのスタンダードナンバー・カバー集とか、聴きたくなってきた。缶コーヒーCMのスピンアウト企画とかで、出してくれないかしら。
  • お次はいよいよ「特別な恋人」。クインシーとの再会を通じて、純粋に歌手として「イイ歌を歌うこと」の素晴らしさを感じたという聖子さん。それが今回、ビッグ・アーティストの竹内まりやとのコラボにつながったというストーリーで番組は進む。俺としてはこのシナリオ、ちょっと出来過ぎ?といった感じも。
  • 当の聖子たん、初めて「特別な恋人」のデモテープを聴いたとき、あまりに“まりやワールド”が完璧に出来上がっていて「え〜、これを私が歌うの〜?」が第一声だったという。「曲を頼んだのはアンタじゃないのかい!」と思わずツッコミ入れたくなった(笑)。そのあとは聖子さんに向けたまりやさん直筆の手紙と本人の声によるメッセージ披露というサプライズ。さすが200回記念。豪華です。
  • はじめてのナマ新曲披露。バンドとコーラス隊をバックに黒のベストとパンツルック・ポニーテールの聖子さん登場。自立した大人の女性を演出ね。え?もしかして“口パク”??CDとは確かにボーカルが違うけど、ちょっとだけ違和感が。もしかしたらヤラレたかも(笑)
  • 最後の曲は「あなたに逢いたくて」。特記なし(笑)。

 
 今回は終始、大人っぽくキメた聖子さん。ようやく「永遠のアイドル」ではなく、キャリア30年のベテラン歌手・松田聖子が出来上がってきたのかも?ということを感じさせてくれる番組だった。もったりした歌い方も、ファンがよく知っているかつてのヒット曲を歌う時こそ目立つけれども、例えば新曲やカバー曲を歌うときには大した問題でもなくて、そのままで十分魅力的なシンガーであることには変わりない、ということも改めて思ったりした。
 年齢を重ねてシワも隠しきれないけれど、その分、落ち着いたしなやかな物腰で語るインタビューではステキな大人の女性らしさが溢れ出ていて、本当に内面的にも充実してきているのだな、ということが感じられた。
 来年の聖子さん、期待できるかもね。