そして今年も女王さまに謁見〜Yuming SURF&SNOW in Naeba 2012

 去る2月12日。女王さまに謁見してまいりました。そう、ユーミン。「Yuming Surf&Snow in Naeba 2012」です。Hiroc-fontana、去年に続いて2回目の謁見。もはや、リピーターです。
 SURF&SNOWユーミンという方は、もともとイベントものの演出がお上手ですしね。バブル期のスキーブームやクリスマス・イヴのイベントやシンデレラ・エキスプレス、80年代後半から90年代前半のユーミンは恋愛の教祖さまとして、さまざまな恋人たちのイベントの「BGM部門」でそれらを演出してきたわけで。しまいには「シャングリラ」としてご自分のステージそのものを一大イベント・ショーにまで発展させてしまったり。その全ての始まりがこの「Yuming Surf&Snow in Naeba」なのよね。たった2回しか参加していない俺でも、雪に閉ざされたリゾート・ホテルの一夜をユーミンのカラフルな音楽と凝ったステージ演出で贅沢に過ごす、このコンサートの独特の雰囲気はもう既に自分の中でクリスマスやお正月のような、一つの季節行事になりつつあって、今年も参加して“やっぱりコレよね〜”とどこかホッとするような、2回目なのに既に懐かしいような不思議な感覚を抱いたのだ。こうした綿密なコンセプトづくり、そしてそれを丸ごとファンにプレゼントしてしまう度量こそが、ユーミンなのよね。だからこその、女王さま。
 (写真は、雪の中に浮かぶ苗プリの夜景。ロマンチックよね。)

 ナエバも今回で早や32回目。MCでユーミンも言っていたのだけど、これってスゴイことよ。32年も同じことを続けるって。初年に生まれた子にだって子供の一人や二人いてもおかしくない歳月。当時ユーミンがせいぜい20代後半だったとして、そろそろ赤いチャンチャンコ・・・みたいなね(笑)
 今年の苗場のコンセプトは、客船。ということで、ステージは豪華客船のボールルームよろしく、円形ステージを客席がとり囲む形。凝ったセットはなくステージそのものはシンプルで、縦横無尽のライティングと、より客席に近い位置にユーミンがいることでステージと一体化した密度の濃い空気感を演出した感じ。本当に自分が豪華客船の中でダンスホールに集まった客の一人になって、客船の座付きミュージシャンの演奏を聴いているような、そんな気にさせられる見事な演出でしたわ。
 セットリストなど詳しくは専用サイトをご覧いただくとして。
 冒頭部分はコンセプトに沿って「海」にちなんだ曲を持ってきていたのだけど、俺としては大好きな「心のまま」(アルバム『Reincarnation』収録)を演ってくれたことがサプライズ。REINCARNATION中盤からは知らない曲(おもに90年代の作品)もあったのだけど、もうこの1曲だけでも今回は満足でしたわ。恒例のリクエスト・コーナー(今年は挙手で決定。俺はもし自分が当たったら「心のまま」にしようと思ってたのだ)ではリクエストされた曲をユーミンが覚えていなくて最後まで歌えなかったり、途中、お笑い芸人乱入(!)のハプニングがあったりで、ちょっと「・・・。」な場面もあったのだけど、それらも結局はアットホームな感覚を演出するのに一役買うことになったりしてね。すべて結果オーライ。
 ところで、昨年末の紅白でのパフォーマンスをはじめとして、最近はさすがのユーミンも“寄る年波には勝てないのね”という印象を否めない場面も多い気がするのだけれど、今回のステージも正直なところ、ボーカルは高音部がかなり「キツイな」という感じがしたのね。でも、低音部の声は驚くほど良く出ていたし、相変わらずアップテンポのナンバーでは若いダンサーに負けず劣らず良く“動けていた”し(笑)、いまもレッスンを重ねていることが伝わってきて(本人も「今回はいっぱい(ダンスを)練習した」と言ってた)、そこはタダでは終わらない“女王の意地”のようなものを感じたのも確か。
 ユーミンいわく「こうして同じことを繰り返すことができることこそが、とても貴重なこと。だから、これからも皆さんとここでお会いしましょう。一緒に歳をとっていこうね。」と。これがきっと、ホンネなのね。毎年、決まった時期に、閉ざされたこの場所に集う、気心知れた仲間たち。ユーミンにとって、またユーミンの音楽を愛するファンにとって、かけがえのない季節行事。それを大切にしていきたいという感覚に、決して女王さまではない“一人の人間として当たりまえ”の温かい心を感じたのよね、俺は。
 もう今更、路線変更して「歳相応の人生訓」を歌にする必要はない。オシャレで、繊細で、ちょっと自意識過剰なお姉さんのまま、これからも毎年同じように「ユーミン」を続けてくれればいいのだ、きっと。
 来年も行きたいわ。ナエバ