お祭り!非日常!「Blast!」

 舞台作品。東京公演に行ってきました。いままで舞台はあまり観る機会がなかったのだけど、生演奏とダンスにコーラス、そして光(と闇)の見事な競演によって次々と繰り出される、アイデア満載の素晴らしいパフォーマンスの数々に、あっという間に引き込まれ、終始感動しっ放しだった俺です。
 ダンサーたちのシンクロの見事さ、バトンやフラッグの正確なスロー&キャッチに感じる、胸すくような快感。それはまさに新体操の団体競技を見ているようで。
 一方、ブラス隊のステージドリルは、いわゆるマーチングバンドとは一線を画するクールさで。複雑なフォーメーションを組みながらも隙のない演奏を繰り出す、その神業的パフォーマンスに、思わず手がちぎれんばかりの拍手を贈る俺でした。ダイナミックな動きと、緻密な演奏。それが舞台の上で、同時進行的に行われていることが信じられなくて、何度も目を凝らしてパフォーマーたちが本当に楽器を吹いているか、確認してしまったほど。
 合間を縫って、ダンサー、プレイヤーが一堂に会しての美しいハミングコーラスや、プリミティブな躍動感を煽られずにおれないドラマー達の迫力溢れるドラムプレイなど、趣向を凝らしたステージが続く。次に何が出て来るのか、期待感と驚きの連続で、ホントあっという間の、そして充実の2時間。
 
 終わってみて「これって、お祭り(フェスティバル)そのものだよな〜」、なんて思ったのだ。
 いわゆる演劇のような、言葉を中心に説明的に構築される舞台とは対極にある、人の原初的感覚に直接的に働きかけるようなステージ。それは、言葉ではなく、まさしく五感を直撃して訴えかけてくる種類の楽しみ。何だかわからないけれど、楽しい!の一言に尽きてしまう。一緒についついリズムをとって手拍子をし、舞台が変われば「何なに?」と身を乗り出し、訓練された肉体の曲芸的動きに「おお!」と思わず感嘆の声を上げる。
 みんながお約束で羽目を外し、一緒に愉しむ、日常を離れた「ハレ」の日。そこには無駄な言葉など必要なく、感覚の開放があるだけ。無礼もケンカもセックスも、なんでもあり。その日だけは、楽しければOK。そう、それこそが「お祭り」なのだ。
 『Blast!』。ユーモラスなブルーマンと、アクロバティックなシルク・ド・ソレイユのアイデアを盛り込みながら(残念ながら俺はどちらも観てないけどね 笑)、それにプラス・Blast(らっぱの一吹き)が加わって、文句なしに誰もが心踊らされるようなお祭り騒ぎが繰り広げられる。
 機会があったら是非体験してみて。