オトナの体験〜由紀さおり&Pink Martiniジャパンツアー2012


 Pink Martini&由紀さおりジャパンツアー2012(10月22日市川市文化会館大ホール)に行って来ました!会場は予想通りオジ・オバたちで大盛況で、ラガーシャツにカーゴパンツで出て来ちゃったことを後悔した俺。めっちゃ、浮いてるわ。
 ただ、席は二階の通路側で、ちょっとだけオジ・オバの空気が薄い場所の上、ステージも良く見えて、まあまあラッキーだったかも。チケットは見事完売だそうで、席は文字通りの満席。
(演奏前の会場をパチリ)
 開演予定時間から10分遅れの19:10にまずPink Martiniのメンバー登場。リーダーのトーマス君(と呼ばせてね 笑)はなぜか赤いランドセルを背負って入場して観客を沸かす。お茶目さんだわん。そのままオープニングから4曲はPink Martiniの演奏。ドラム&パーカッションのリズム隊にブラスが二名、ギター&ベースに、バイオリン他ストリングス隊5名、そして男女ボーカルに、トーマス君のピアノ、という編成で、ラテン・ミュージックを中心に初っ端から実に息のあった緻密な演奏を聴かせる。
 え?由紀さおりは出ないの?という会場の空気をよそに、次々と演奏は続き、CDそのままのどこかノスタルジックで、独得の色気があるそのサウンドが次第に会場を惹きつけ、曲目が進むにつれて拍手も大きくなっていく。俺も、予想を遥かに超えたその演奏の素晴らしさに、今日のお目当てが由紀さおりであったことをしばし忘れてしまったのよね。
 そして、トーマス君がカタコトのカワイイ日本語を交えながら、由紀さおりとの出会いの逸話を披露して(中古レコード屋で彼女のLPをジャケ買いしたというエピソード)、最初に彼らがアルバムで取り上げた「タ・ヤ・タン」の演奏に入る。ボーカルはPM専属女性ボーカリストチャイナ嬢。この人も器用な歌手でなかなか良いのだけど、演奏が2コーラス目に入ると突然、あの艶のある声が被さってきた。そう、由紀さんの登場!ピンクのショール付きドレスでステージが一気に華やぐ感じ。そしてその声の美しさ。チャイナ嬢も素晴らしかったけれど、マイク乗りが全然違うのよね。
 あとは、まさにCD『19691969の世界がステージに忠実に再現されていく。近年はドーム級の大会場でのコンサートを観ることばかりなので、多くの場合PAの大音量で耳がおかしくなるばかりか、アレンジや歌声も妙に機械的だったりして(ひどいときは誰かさんみたいに“口パク”だったりね。笑)、「コンサートではCDのクオリティを期待してはいけない」ということを言い聞かせている俺なのだけど、今回は全然、違った。まるっきりCDのままのクオリティが保たれている。その上演奏には臨場感があるし、由紀さんの声もほどよくエコーがかかって広がりがある。こんなコンサート、久しぶりに体験したような気がした。
 二部構成のステージで『1969』から通算10曲を披露し、惜しくもCD化の際に収録から漏れた「真夜中のギター」も初お披露目となった。こちらもタンゴ風アレンジが耳を惹く素晴らしい演奏でした。そんなわけで、途中休憩を挟んでの正味2時間のステージは、由紀さんボーカルによる『1969』の世界をメインに置きながらも、前半・後半のPink Martiniの単独演奏もジャンルレスのその豊かな音楽性で文句なしに楽しめる、本当に満足度の高いステージでしたわ。PMの演奏では由紀さんが後ろの方で一緒に鳴り物を叩いていたり、コーラスで参加していたりで、その「連帯感」「対等感」がまた、ホンワカと良い雰囲気を醸し出したいたのよね。専属ボーカルのチャイナさんともお互いを尊重しあっている雰囲気がすごく伝わってきて、音楽的洗練度はもちろんだけど、そんな意味(ソフィスティケイとされた人格ね)でも、「これはオトナのコンサートだな」という気がしたのね。
来年はフランス公演が控えているとのこと。そちらも成功するといいわね。
 こちら↓はポートランド公演の様子。 
オフィシャルサイトより)