あの「ニュー・ファミリー向け店舗」潜入記

 平日に休みが取れたので、初めてIKEAに行ってみた。
 上手い商法だわ〜。
 悔しいけれど完敗だわ。
 入って暫らくは、ショールームのディスプレイでスノッブな、でもってガラにもなくセレブ心をくすぐる「夢のお部屋」を嫌と言うほどみせられて。
 あ、ウチもこんな風にしたいわ。なんて、(一切がっさい買い揃えない限り出来るわけもないのに)淡い夢を抱かせるわけね。
 おまけにそんなオシャレな小部屋を飾る“カワイイ”小物たちは、どれも799円とか1,900円とか、あら手が届くじゃない、みたいに思わせる絶妙な価格設定のタグが付いている。それで、店の中で大声ではしゃいでいるバカ奥様たち言うところの
「このコ(商品のことよ)が私を呼んでるの、だから買うわ!」 みたいに勘違いさせるわけね。
 そして、迷路のようなショールーム動線のところどころには、ちゃんとウレ線の商品を山積みにして、「これ、買い忘れてませんか??」みたいにアピールしてるのよね。そんな、遊園地の中をアドベンチャーしている気分にさせておいて、大物は最後にセルフピッキングのコーナーで、自分が控えておいた商品ナンバーのメモを片手に、巨大な倉庫の中からお目当ての商品を探し出す仕組み。
○○ちゃん、み〜っけ!
みたいな、かくれんぼの後の再会のような演出まで用意してるわけよね。
 その倉庫にもあちこちにオシャレなファニチャーが展示されていて、ついつい「あ、あれもイイかも…。」と思わせられてしまう。インテリアに少しでも興味がある人間には、ホント、最初から最後まで際限なく消費意欲をくすぐられ続ける感じなのね。
 あともう一つ、俺が行ったのは平日だったにもかかわらず、小さな子供を連れた若い家族が凄く多くてビックリしたの。店内はまるで巨大迷路のようだし、リーズナブルでコジャレたレストランもあるし、広大な駐車場はもちろん、究極はオモチャ満載の託児所まで用意されてる(最近はこんなサービスもあるって。ちょっとやり過ぎよね)…というわけで、あからさまにヤングファミリーにターゲットを絞った戦略は、まずは大成功している様子。
でもね。
 このあまりに戦略的に出来上がった店舗形態、その向こう側に、先進的福祉国家を成功させた北欧人が、アジアの片隅の国相手に
商売とは、こうするのだよ、わかったかい?お猿さんたち(Ha? Japanese Monkeys!)(笑)
とあざ笑うドヤ顔が見え隠れしてるような気もしてきて、何だか虫が好かないのよね〜。それに乗せられて結局予定外の買い物をたくさんしちゃった、俺も俺だけどさ(苦笑)。
 ちなみに家に帰れば、説明書(これがまた、雑なようで実はけっこう解り易く出来てたりする)首っ引きで大物を組み立てつつ、ちょっとした日曜大工気分を味わえて、ここからやっとパパ達の出番、という感じで家族分業体制も用意してくれていて、至れりつくせり。ウザいっちゃ、ウザいけどね…。
 ま、そんな感じで、次はアルミ製のタオル掛けを買おうかしら、なんてことを考えちゃってる俺は、立派なリピーター(汗)。
 ↓ こんな、いつかは邪魔になりそうな椅子を衝動買いしちゃった私・・・