暖かい部屋でもう一度観たい映画たち

今回は久しぶりに映画の話題を。
今年の冬は本当に寒くて、休日でも出来ればあまりお外に出たくない感じ。
そんなとき、暖かくしたお部屋で日がな一日観ていたい、私のオススメ映画を紹介します。当初、60万ヒット記念企画にも考えていたのですけどね、さすがにこれは万人受けしないかな・・・ということで今日に回りました(笑)。

 数あるクロサワ映画の名作の中で、地味ながら私が大好きなのはこの作品。「太平洋戦争に軍医として出征した若き医師・藤崎恭ニは、野戦病院での手術中、誤って梅毒のスピロヘータに感染してしまう。戦後、復員した藤崎は、婚約者の美佐緒に指を触れることも出来ず苦悩する…」(DVDパッケージより転用。)エイズが現れる数十年前にこんなテーマを選んだ黒澤監督の先見性に驚きながら、三船敏郎演じる医師・藤崎の、現代では考えられないような自己犠牲的で青臭い正義感に、少し辟易してしまうところもある。でも、でも…最後の方でついに耐え切れなくなり、千石規子(ご冥福をお祈りします)演じるやさぐれ看護師に、自分の欲望と戦い続ける苦悩を嗚咽しながら吐露するシーンには、いつも涙してしまう私。ゲイにはこの気持ち、痛いほどわかるんだもの。戦後間もなくの日本、季節の移り変わりの中で、次第に社会も主人公たちの心も、穏やかに前向きになっていく展開も素敵です。

 私の大好きなナイトメア映画界の巨匠・キューブリック監督映画の中でも、最も悪夢性の強い作品がこれ。ご存知、ジャック・ニコルソンおじさんの怪演が炸裂。雪に閉ざされた冬の高原ホテルの管理人として、巨大なホテルに取り残された家族、その父ジャックが次第に古くからホテルに棲み着く魑魅魍魎たちに影響され発狂していくという、スティーブン・キング原作の映画化。ホテルに響くタイプライターの音、廊下を走る子供の足漕ぎバギー、そしてバギーが廊下を曲がった途端、目の前に現れる不気味な双子の少女。重なる少女たちの惨殺遺体のイメージ!その映像のスタイリッシュさ、斬新さ、緊張感に目が離せなくなります。全てが絵になるホラー映画という意味で、オンリーワン。

 これはね、観るたびにオールド・ヨーロッパに旅立てるような映画ね。戦争の爪痕が残るウイーンを舞台にしたフィルム・ノワールの傑作、というより、数年前にビールCMのBGMにもなったテーマ曲で有名かもね。サスペンスタッチながら、この音楽が何ともロマンチックで。オーソン・ウェルズをはじめ当時の本物の紳士たちの装いのカッコ良さ(トレヴァー・ハワード扮する警察官がダッフルコートを着ていて、それが何ともキマってるのよね)に見とれながら、地下水道や観覧車、ラストの並木道のショットなど、印象的な場面の連続で、今も観るたびに「ああ・・ステキ」と思わずため息をつきまくりの、名作中の名作です。

 マリリン・モンローは大好きなのよね。やっぱりモンローがいまだに世界中で愛されているのは、その魅力的な外見だけでなく、内面から溢れ出てくるような、人間としての美しさのせいじゃないかと思っているの。そんなマリリンが、ちょっととぼけた味わいで、片や豪快なダイナマイト・グラマー、ジェーン・ラッセルとの豪華競演を果たしたミュージカル映画がこれ。ストーリーは他愛ないのだけれど、イケメンダンサーそろい踏みといった感じのミュージカル場面(マドンナ「Material Girl」のPVの元ネタにもなった)を観れば、悲しいこと辛いことなどすべて忘れてしまうこと必至。ゴージャスでスウィートでハッピー!必ずパワーをもらえます。

 小林聡美尾美としのり主演による青春映画の傑作。年頃の男女が入れ替わってしまうというストーリーは奇想天外でありながら、観終わったあとはいつも爽やかな余韻を残してくれる不思議な映画。舞台となった尾道のノスタルジックな風景も素晴らしくて、この映画公開後は人気観光スポットにもなりました。小林聡美さんはこの映画で惜しげもなく初々しい裸体(上半身)を披露しているのだけど、意味も無く脱がされているような場面もあって、ちょっと可哀想なのよね(苦笑)。一方の尾美さんは、映画のほとんどで「女役」。なんだか昔の自分を見るような気がしちゃったりして(苦笑)。実は聡美さんも尾美さんもhiroc-fontanaと同世代なので、この映画を観ると自分もあの頃にタイムスリップ出来ちゃうのよね。大好きな映画。
 
 さて、以上5本。今回はあまりマニアックにはしなかったつもり(笑)。冬の場面が出てくる映画も多いので、家にいることが多いこの季節、機会がありましたら是非観てみてくださいね。