フォークな夜。太田裕美コンサート2013〜まごころ39

初恋
6月7日(金)、東京では6年ぶりとなる太田裕美さんのソロ・ライブに行ってきました。題して「まごころ39」。デビュー39年目と“サンキュー(39)”をかけてるわけね。
 会場は渋谷のど真ん中、109裏にあるマウントレーニアホール。客席300席ほどのこじんまりとした会場で、チケットはすぐにソールド・アウトだったとか。

 一方でかつてのライバル、岩崎のヒロりんは今だに東京フォーラムでコンサートしたりするわけだから、こっちのヒロミさんももう少し大きい会場を選んでも良かったんじゃないの?とも思ったのだけど、そこが太田のヒロミさんね。ライブ感というか、まごころ込めた手作り感を大切にしているのかもね、まさしく今回のコンサートはそんな感じでした。
 舞台上のメンバーは、太田裕美(Vo&Pf)、西海孝(G)、岩井眞一(E.G&Per)、以上。3名!
 今回のコンサート、実は来る7月に同会場で行われるコンサートと合わせての2デイズ公演で、曲目やステージ構成が異なるのだそう。第1回目の今回は裕美さん曰く「フォークな夜」。(一方の7月のコンサートは「ロックな夜。」になるんだとか。 笑)
 そんなわけで、今回はアコースティックなバック演奏に乗せて、フォーク寄りの選曲(裕美さんは“なんちゃってフォーク”と言って笑わせていた)中心。オープニングからいきなりピアノ弾き語りで、84年のテクノ・アルバム『TAMATEBAKO』収録の「ささら」で幕開け。2曲目には何とセカンドシングル「たんぽぽ」が登場して、今回の選曲の渋さに思わず唸る。この辺の、単なる「懐メロ歌手のヒットメドレー」には絶対にしないあたり、そしてそれがとてもさりげなく出来てしまうあたりが、やっぱり太田さん。ご本人もMCで(今年1月放映のNHKドラマ「メイド・イン・ジャパン」の主題歌の依頼が来たことに触れて)「もう懐メロ歌手として扱われても仕方ない私が、こうして今だに新しい歌を歌えていることはとても感謝すべきこと」なんて、おっしゃってましたしね。
 さて、今回のセットリストはこちら。面白MCもついでに挟んじゃいます。

1.ささら
2.たんぽぽ
3.失恋魔術師(78年のシングル)
4.しあわせ未満(77年のシングル)
 ユーミン作品2曲〜
5.青い傘(76年のアルバム『12ページの詩集』より)
6.袋小路(75年のアルバム『心が風邪をひいた日』より)
 〜最新アルバム『始まりはまごころだった』からの選曲〜
7.星屑
8.きみはぼくのともだち
MC〜 前回(6年前)のコンサートは酷い風邪を引いて思うように歌えなかった・・・。あれ以来あんな風邪は引いていないのに。人生一寸先は闇。だから面白い!)
 松本隆の青春作品集〜
9.赤いハイヒール(76年のシングル)
10.青春のしおり(アルバム『心が風邪をひいた日』より)
11.ピッツアハウス22時(78年のアルバム『ELEGANCE』より)
MC〜 先日NHKの公開番組で「赤い〜」を歌ったときは歯が痛んで頬が腫れていた。まん丸の顔で出演したのだけれど気付かない人もいて・・・爆笑
 伊勢正三作品集〜
12.初恋(09年のシングル)
13.君と歩いた青春(アルバム『12ページの詩集』より、81年のシングル)
 〜「みんなのうた」提供曲集〜
14.パパとあなたの影ぼうし(01年のシングル)
15.金平糖(12年のシングル)
16.僕は君の涙(98年のミニアルバム『魂のピリオド』より)
MC〜 季節柄、「みんなのうた」初登場の曲「あじさい」にしようかとも考えたのだけど、譜面が全く残ってなかったので断念しました。。。
17.(『始まりはまごころだった』より)
(アンコール)
18.星がたり(79年のアルバム『Feelin' Summer』より)
19.雨だれ(デビューシングル)

 ね?「木綿」はなし、フォーク系のヒット「最後の一葉」も外れているという、なんと贅沢な(ワガママな)選曲でしょ。
 今回、ワタシ的には“みんなのうた三部作”をはじめ2000年以降の作品がなぜかとても沁みたのよね。パパとあなたの影ぼうし近年は裕美サウンド自体が思いっきりアコースティックに回帰しているので(あっさりしすぎていると思うこともあるくらい)、逆に今回のステージのような3人編成でもその世界が余すところなく再現できることも理由としては大きいけれど、何より裕美さん自らが歌詞に込めた思いが、生の歌声によってすごく伝わってきて。金平糖
 39年の歳月で培われてきたであろう、太田裕美さんという一人の女性の素敵な生きざまが、それらの自作詞の中には確かに表現されていて。それをいまの(50代後半の)裕美さんがいまの声で表現するからこそ、尚さら素晴らしいのだ、ということを強く感じたのだ。
 太田さんに出会ったのは私が10才の頃。なんと、我が人生の5分の4は、太田さんを聴いてきたことになるわけね。俺にとっての人生の音楽パートナーが「太田裕美」であったこと、それを誇りに思いたいな。
 次回「ロックな夜」もたのしみ。。。
(追記)そうそう、久しぶりに拝見したナマ太田さん、すっきりと凛として相変わらずお美しかったですわ。私も少し前にテレビで観た「まん丸顔」に少しショックを受けていたので(笑)、今回のMCを聞いてナットクでした。声の方も良く出ていたようです(もちろん20代の頃の「ミラクルボイス」とは比べるまでもないのですけど・・・汗)。