安室ちゃんを追いかけて〜『FEEL』

FEEL (ALBUM+Blu-ray) (特典ポスター無)
 ワタシは「聴かざる」盤を購入(ちなみに他に「見ざる」FEEL (特典ポスター無)・「言わざる」FEEL (ALBUM+DVD) (特典ポスター無)盤があって、“五感を駆使してとにかく感じて(Feel)!”というのがコンセプトだそうな)。
 う〜ん。。hiroc-fontanaには評価が難しいわ、これ。実際にファンの間でも賛否両論あるようだけど、俺の場合はね、最近のハヤリの洋楽をほとんど聴いていないものだから、EDM(イ○ポ(ED)な男(MAN)、ではなっくて(笑)、エレクトロ・ダンス・ミュージックのことね)とか言われてもどこかピンとこなくてね。
 あらアムロちゃん、随分バタ臭くなっちゃったわね〜。みたいな。
 その意味では、コマーシャリズムに乗った日本のアーティストとしては、とても完成度の高い“洋楽コンセプト”のアルバムを仕上げたな、とは思う。実際、ソングライティングチームも明らかにアチラの方の名前がズラ〜ッと並んでいて、曲もほとんどが英語詞、それを前作よりは相当こなれた発音で「スムースに」「堂々と」「様々なニュアンスを駆使して」歌いこなすアムロちゃんが確かにいて、これは明らかに進化している。
 ただね。
 50近いオジさんからすると、この手の音楽、特に洋楽に近づけば近づくほどに、デジャヴュというか、どこかで聴いたような感じがしちゃうのよね。いや、聴く人によってはスゴく新しく感じるのかもしれない。でも、やっぱり英語のイントネーションの印象がそうさせるのか、「エレクトロ」というシンセ系(作り物)サウンドの限界がそう思わせるのか、それはわからないのだけど。。。どうしても、五線紙の中の音階とリズムと楽器で作られる「音楽というもの」の「限界」を感じちゃうのよね。オジは。
 50年代のジャズやロックンロールから進化を遂げてきた“ポピュラー・ミュージック”の歴史も50年を優に越えて、もうすでに2周も3周もしてしまっているから、今となってはそうそう新しいものは出てこなくて、だからこそ我々オジたちはどんどん回顧路線に走っていく…。そんな感じなのかしら。
 なんて、どんどん本題から逸れてしまったけれど、今回のこのアムロちゃんの新作『FEEL』を聴いて思わずそんなことを考えちゃった。
 またちょっと話は逸れるけれど、マイケル(ジャクソン)の全盛期、彼はソングライティングではとてもオーソドックスな人だったと俺は思うのだけど、例えば『BAD』は最初に聴いたときに、とにかくベース系の音の重厚感が斬新で「これは違う!」と思えたし、続く『Dangerous』では逆に乾いてピシピシ鳴るようなサウンドに、初っ端から耳を持っていかれたりしたのよね。
 でも正直言ってこの『FEEL』を一聴して、残念ながらそんなゾクゾク(おお、こう来たか!というような)はなかったの。(つまりはね、アムロちゃんはいつの間にそこまでの期待を抱かせる存在だったわけでね、俺にとっては。)彼女の進化の歴史を辿れば、確かにその「攻めの歴史」に新たなページが加わった作品ではあると思う。けれども一方で、未完成だからこそ彼女が持ち得ていた“オリジナリティ”という側面から見れば、それは過去のものになりかけているような気がしてしまったのよね、今回の作品で。(彼女の“ジャパニーズ・イングリッシュ”こそ“オリジナリティ”だ!なんて言ったんじゃ、ちょっと悲しいでしょ?)
 俺はやっぱり、あくまでも似非R&Bの範疇で、早口英語を無理やり訳詞したりサンプリングしたりして、“等身大プラスα”にトンガっていた日本人アーティスト“安室奈美恵”がやっぱり好きなんだよな〜、なんて思ってるの。 (「60s 70s 80s」がその意味で今だマイベストなのかな。)
 
 とは言え・・・ 全体に夏らしい爽快感が溢れていて、様々なアレンジと曲想が楽しめるこの作品、いつもながらヘビロテには変わりなくて(笑)。アムロちゃんの言う“FEEL”そのままに流していたりもするわけで(1曲1曲が短いので、“流す”という感じがちょうど良くてね 笑)。結局は聴いてんじゃん。みたいな。